セッション情報 |
専修医発表(卒後3-5年迄)
|
タイトル |
専19:肝細胞癌・肺腺癌合併のC型肝硬変のAeromonas hydrophilaによる敗血症性ショックより救命し得た一例
|
演者 |
渡名喜 銀河(熊本大学大学院消化器内科学) |
共同演者 |
立山 雅邦(熊本大学大学院消化器内科学), 柚留木 秀人(熊本大学大学院消化器内科学), 古閑 睦夫(熊本大学大学院消化器内科学), 具嶋 亮介(熊本大学大学院消化器内科学), 吉丸 洋子(熊本大学大学院消化器内科学), 福林 光太郎(熊本大学大学院消化器内科学), 永濱 裕康(熊本大学大学院消化器内科学), 田中 基彦(熊本大学大学院消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院消化器内科学) |
抄録 |
【症例】83歳男性。【現病歴】平成20年8月近医で左上肺野の異常陰影を指摘され、10月CTで左上葉に結節を指摘された。同年10月経気管支肺生検で腺癌(S1+2,cT2N0M0 StageIB)と診断され、11月当院呼吸器内科を紹介受診後、放射線治療を希望され、平成21年1月肺腺癌に対し放射線照射を施行した。また、平成20年12月造影CTにて肝腫瘍を認め、平成21年1月肝腫瘍生検にて肝細胞癌と診断した。2月肝細胞癌satge IIIに対して肝動脈化学塞栓術を施行した。その後肝細胞癌の再発があるものの家人の都合により治療が困難であった。平成23年4月肺腺癌による転移性脳腫瘍に対し定位放射線療法を施行後、ゲフィチニブを導入するも、副作用にて中止し外来経過観察中であった。平成23年7月夜間より呼吸苦と腹痛を自覚し救急車にて入院となった。【入院後経過】体温40.0℃、腹部膨隆を認め、下腿浮腫・腹痛・下痢が著明であった。腹部CTにて胸腹水貯留を認め、SpO2 92%(マスク10L)と酸素化不良であり、白血球 2500/μl,好中球 700/μl,CRP 0.08mg/dLと発熱性好中球減少症を認めた。感染源として特発性細菌性腹膜炎が疑われたためIPM/CSを開始した。腹水中の白血球 5800/μl,好中球数は5394/μlと著増し、入院1日目に敗血症性ショックとなり、輸液と昇圧剤、ステロイドの投与を行った。IPM/CS投与を開始後すぐに解熱したが、入院2日目に白血球 8800/μl,好中球 7532/μl,CRP 7.90mg/dLと炎症反応の上昇を認めた。血液培養からAeromonas hydrophilaが検出され、抗生剤をLVFXに変更し、炎症所見の改善とともに入院3日目にショックから離脱した。また、輸液負荷に伴い入院4日目には心不全・肺水腫を発症したが、輸液量を減量しハンプ 0.0125γを開始後、全身状態改善し入院24日目に転院となった。肝硬変患者・担癌患者など免疫機構の破綻したcompromised hostに発症したAeromonas hydrophilia敗血症は、致死的な経過をとることが多いが、本例は迅速な対応により救命できた貴重な症例と考えられた。若干の文献的考察を行い報告する。 |
索引用語 |
Aeromonas hydrophila, 肝硬変 |