セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研66:

成人の消化管異物44例の検討

演者 足立 利幸(長崎大学病院 救命救急センター)
共同演者 泉野 浩生(長崎大学病院 救命救急センター), 中嶋 秀樹(長崎大学病院 救命救急センター), 山野 修平(長崎大学病院 救命救急センター), 馬場 史郎(長崎大学病院 救命救急センター), 猪熊 孝実(長崎大学病院 救命救急センター), 野崎 義宏(長崎大学病院 救命救急センター), 山下 和範(長崎大学病院 救命救急センター), 長谷 敦子(長崎大学病院 救命救急センター), 田崎 修(長崎大学病院 救命救急センター)
抄録 【はじめに】消化管異物は救急医・耳鼻咽喉科医・消化器内科医・消化器外科医が連携して診断・治療をすすめていく必要がある。当センターは2010年4月に開設され、年間約5000例の患者を受け入れているが、消化管異物の症例は比較的多い。初期診療医として円滑に診療を進めるため、これまでの症例を検討した。【対象】2010年4月から2011年8月までの17ヶ月間に当院救急外来を受診した消化管異物129例のうち、解剖が異なる14歳以下の小児85例を除いた44例【方法】多くの症例では、救急医が肉眼的に観察して異物を認めなければ、耳鼻咽喉科医に紹介してファイバーを含めた観察、それでも認めなければ消化器科に紹介もしくはCTを撮像する方針をとってきた。時間経過、症状、異物、施行した検査、摘出した手段を検討した。【結果】平均年齢は55.4歳(15-91歳)、男性20例、女性24例であった。精神疾患2例と紹介患者1例を除く41例が時間外または休日の受診で、発症から来院までに平均3.5時間経過しており、電池誤飲と義歯紛失を理由に来院した5例を除く39例が来院時に疼痛または違和感を訴えていた。鋭的異物(魚骨・義歯・PTPなど)36例、電池3例、食物塊2例、その他3例のうち、摘出しえたのは27例であった。そのうち、直視下に観察できたものは7例(救急医5例、耳鼻咽喉科2例)で、咽頭ファイバーで4例、CTで11例、上部消化管内視鏡(以下GIS)で5例を検出した。停留部位は咽頭11例、食道13例、胃3例、十二指腸以下2例であった。CTを撮像した19例のうち12例で異物を発見・摘出した。その一方で、当日は耳鼻咽喉科受診・CTでも検出されず、翌日に再診し咽頭ファイバーで異物を認めた症例が1例あり、それ以外の43例では翌日以降に再診した症例はなかった。また、GISで異物を摘出した症例に偶発症は認められなかった。【考察】成人ではGISの絶対適応となる鋭的異物(消化器内視鏡ガイドラインII群)の食道停留が多く、発症から3時間程度の鋭的消化管異物を疑うエピソードであればこれまでの方針でよいと考えられた。しかし、なかにはCTでも検出できない症例もある。以上、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 消化管異物, 内視鏡