セッション情報 一般演題

タイトル 053:

SSA/Pから癌化したと考えられた盲腸Ιs粘膜内癌の一例

演者 石原 祐史(豊見城中央病院)
共同演者 峯松 秀樹(豊見城中央病院), 羽根田 賢一(豊見城中央病院), 大城 拓巳(豊見城中央病院), 與儀 竜治(豊見城中央病院), 玻座間 博明(豊見城中央病院), 真喜志 知子(豊見城中央病院), 加藤 功大(豊見城中央病院), 新垣 京子(豊見城中央病院)
抄録 【はじめに】
近年、右側結腸に好発し、過形成性ポリープや鋸歯状腺腫に類似しているが腺管の拡張・異常分岐・異型上皮成分が混在し、癌化のポテンシャルが高いsessile serrated adenoma/polyp (SSA/P)の概念が提唱され、注目を集めている。2010年のWHO分類では、鋸歯状病変について、SSA/P、hyperplastic polyp(HP)とtraditional serrated adenoma (TSA)に分類された。今回、我々はSSA/Pに発生した粘膜内癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を添えて報告する。
【症例】75歳、女性。高血圧、脂質異常症にて近医に通院していた。大腸癌の家族歴はない。2011年7月下部消化管内視鏡検査では盲腸に8mm大の白色調・丈の低い広基性隆起性を認め、内視鏡的切除を施行した。
病理組織的には、鋸歯状腺管で構成される病変で、腺管の異常分岐や陰窩のヘルニア像が散見された。構成細胞は概ね異型性に乏しかったが、ごく一部に径1.5mmの高分化腺癌を認めた。以上の所見よりSSA/Pに発生した粘膜内癌と診断した。免疫染色ではSSA/SSP部はMUC5AC(+)、MUC6(+)、MUC2(+)、p53(-)、癌部はMUC5AC(-)、MUC6(+)、MUC2(+)、p53(+)であった。
【考察】
鋸歯状腫瘍から発生する癌化経路は、HPからSSA/Pを介して大腸癌へ進展するserrated neoplasia pathway が、欧米における分子生物学的研究結果を基に仮説として提唱されている。本症例はSSA/Pの一部に粘膜内癌を認めたが、背景SSA/P病巣でも、陰窩底部に限局して高異型度腺管が、側方へ伸展していた。SSA/Pにおける癌の組織発生を推定する上で示唆に富む症例と考えられた。
索引用語 SSA/P, 病理