セッション情報 一般演題

タイトル 090:

C型慢性肝炎のINF治療後に悪性リンパ腫を発症した1例

演者 濱田 聖暁(嬉野医療センター)
共同演者 岡 忠之(嬉野医療センター), 柴崎 信一(嬉野医療センター), 荒木 政人(嬉野医療センター), 古川 克郎(嬉野医療センター), 武岡 陽介(嬉野医療センター)
抄録 C型肝炎ウイルス(HCV)は慢性肝炎、肝硬変、肝癌などの肝疾患以外に悪性リンパ腫など肝外病変といわれる種々のリンパ増殖性疾患を合併することが知られている。今回我々はC型慢性肝炎のINF治療後に悪性リンパ腫を発症した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。症例は63歳、男性。C型慢性肝炎に対してINF治療を行い、SVRとなった。フォローCTにて膵尾部・脾門部周囲の軟部組織陰影に径38mmの腫瘤を認め、徐々に増大傾向であった。PET/CT上も同部位に腫瘤を認め、FDGの異常集積(SUV=max=9.51)を伴っていた。膵尾部との連続性ははっきりせず、後腹膜または腸間膜由来の腫瘍性病変も疑われた。全身精査を行ったが、その他の部位には腫瘍性病変は認めなかった。採血上もsIL-2レセプター等の腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。膵尾部と接しており膵外性に発育した膵癌、原発不明の転移性腫瘍の可能性も考えられた。更に鑑別として悪性リンパ腫、膵癌、中皮腫や肉腫、MFHなどが考えられた。悪性腫瘍の可能性が高いため、脾門部腫瘍に対して膵尾部切除術を施行した。病理組織診にてMalignant lymphoma, follicular large cell type(grade3a)と診断された。HCV感染と悪性リンパ腫の関連性が示唆されているが、HCVがリンパ球の腫瘍化にどのように関与するかはいまだ不明であり、更なる症例の蓄積と検討が必要である。本症例からも推測されるようにHCV感染では、肝病変以外に悪性リンパ腫を含めた肝外病変を常に念頭に置く必要があると思われる。
索引用語 HCV, 悪性リンパ腫