セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研27:無黄疸にて発見された高齢者肝門部胆管癌の1例 |
演者 | 加藤 拓也(浦添総合病院消化器病センター外科) |
共同演者 | 伊佐 勉(浦添総合病院消化器病センター外科), 谷口 春樹(浦添総合病院消化器病センター外科), 本成 永(浦添総合病院消化器病センター外科), 小網 博之(浦添総合病院消化器病センター外科), 白井 智子(浦添総合病院消化器病センター外科), 西垣 大志(浦添総合病院消化器病センター外科), 古波倉 史子(浦添総合病院消化器病センター外科), 亀山 眞一郎(浦添総合病院消化器病センター外科), 伊志嶺 朝成(浦添総合病院消化器病センター外科), 長嶺 義哲(浦添総合病院消化器病センター外科), 松村 敏信(浦添総合病院消化器病センター外科), 仲村 将泉(同内科), 小橋川 嘉泉(同内科), 内間 庸文(同内科) |
抄録 | 肝門部胆管癌は閉塞性黄疸で発症することが多く,無黄疸にて発見されることは比較的稀である.しかし,最近では画像診断の進歩に伴い,無黄疸で発見される症例もみられるようになっている.今回われわれは,無黄疸にて発見された高齢者肝門部胆管癌の1例を経験したので報告する.症例は85歳,女性.12年前,前医にて胸腺腫に対して胸腺摘出術を受け,術後の定期検査で肝機能障害を認めた(T.Bil 0.43mg/dl,AST 147U/l,ALT 180U/l,ALP 1268 U/l).1ヶ月後の再検査で,さらに肝胆道系酵素の上昇(T.Bil 1.11mg/dl,AST 374U/l,ALT 357U/l,ALP 2935 U/l)を認めたため,造影CT,MRIなどの検査を行った.肝門部胆管癌が疑われ,当院紹介となった.当院初診時にはT.Bil 3.6mg/dlと軽度の黄疸を認めた.造影CT検査では肝門部に2cmほどの漸増性に増強される腫瘤陰影,肝両葉の胆管拡張,肝左葉の委縮,門脈左枝狭小化を認めた.MRCP,ERCでは左肝管を中心とした肝門部胆管狭窄を認め,右側は前後区域枝分岐部近くまで狭窄が進展していた.右肝動脈浸潤を疑わせる所見はなかった.内視鏡的経鼻胆管ドレナージを施行し,減黄を行った.肝門部胆管癌と診断し,肝拡大左葉・尾状葉および肝外胆管切除,胆管空腸吻合術を施行した.病理検査結果は,中分化管状腺癌,pT4(pPV1),N0,fStageIVa,pHM0,pDM0,pEM1であった.術後経過はおおむね良好で,術後25日目に軽快退院となった.術後6カ月経過した現在,再発所見や胆管炎の併発もなく,健在である.肝機能障害に対しては腹部USなどの検査を迅速に行い,胆道癌を見逃さないようにする必要がある.また,高齢者肝門部胆管癌といえども,正確な進展度診断を行い積極的な治療を行う意義があると思われる. |
索引用語 | 高齢者肝門部胆管癌, 無黄疸 |