セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 102:胃穿破を伴った胆管内乳頭状腫瘍の1例 |
演者 | 藍澤 哲也(大分県厚生連鶴見病院外科) |
共同演者 | 久保 宣博(大分県厚生連鶴見病院外科), 野口 琢矢(大分県厚生連鶴見病院外科), 一万田 充洋(大分県厚生連鶴見病院外科), 坂口 健(大分県厚生連鶴見病院外科), 永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 中嶋 宏(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 首藤 充孝(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 久松 朱里(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 山内 美佳(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 西川 和男(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 有木 晋平(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 村上 麻衣(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 柴田 浩平(九州大学病院別府病院外科), 野口 剛(大分大学医学部地域医療学センター外科系) |
抄録 | 症例は70歳,女性。20011年3月頃からの発熱,全身倦怠感を主訴に近医受診し,治療されていた。しかし症状は徐々に増悪傾向を認めたため5月13日,他医受診して採血にて炎症反応の亢進および肝機能悪化を認めたため急性胆管炎の診断で点滴治療されていた。5月17日の同院の腹部CT検査にて肝内胆管の拡張を認めたため精査目的にて当院紹介となった。来院後のMRCPにて上部総胆管および管内胆管の著明な拡張を認めた。同日施行したERCPでは,胆管内の非常に粘性の高いゼリー状の粘液の影響で造影不良であった。Vater乳頭は開大していた。胆管ドレナージ目的でENBDチューブおよびEPSを留置した。当院で施行した画像所見から肝臓左葉を首座とする胆管内乳頭状腫瘍(Intraductal papillary neoplasm of the bile duct:以下IPNB)である粘液産生性腫瘍の可能性が示唆された。また腫瘍は胃への穿破も認められ,術前施行した内視鏡検査での細胞診で粘液癌を疑う細胞が散見された。以上のことから外科的切除を行った。患者は38年前に総胆管結石によって他医で総胆管空腸の側側吻合がなされていた。手術は拡大肝左葉切除,胃部分切除および挙上空腸部分切除を行った。総胆管および肝内胆管は術中細胞診にて切離ラインを決定した。挙上空腸に胆管吻合した。近年,膵の膵管内乳頭粘液腫瘍(Intraductal papillary mucinous neoplasm; IPMN)と類似の特徴と形態をもつIPNBという疾患概念が提唱されて,徐々に報告例が増えてきているが,いまだまれな疾患であり,なかには肝嚢胞として8年間経過観察されていた症例の報告例もある。粘液産生性の胆管腫瘍では当疾患の可能性も念頭に入れておくことが必要であると思われた。 |
索引用語 | 胆管内乳頭状腫瘍, 粘液産生性腫瘍 |