セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専30:食道癌の頸髄髄内転移の1例 |
演者 | 中村 健一(熊本大学大学院 消化器外科学) |
共同演者 | 渡邊 雅之(熊本大学大学院 消化器外科学), 長井 洋平(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 祥史(熊本大学大学院 消化器外科学), 大内 繭子(熊本大学大学院 消化器外科学), 有馬 浩太(熊本大学大学院 消化器外科学), 井田 智(熊本大学大学院 消化器外科学), 石本 崇胤(熊本大学大学院 消化器外科学), 岩槻 政晃(熊本大学大学院 消化器外科学), 坂本 快郎(熊本大学大学院 消化器外科学), 宮本 裕士(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学) |
抄録 | 悪性腫瘍の髄内転移は稀であり、食道癌が原発であるものの報告例はない。今回、食道癌の頸髄髄内転移の1例を経験したので報告する。症例は78歳、男性。嚥下障害を主訴に前医受診され、上部消化管内視鏡にて食道癌の診断で精査加療目的に当科紹介となった。精査の結果、食道癌 扁平上皮癌 MtLt cT3N3 (#106recR/L, #112Ao背側, #1)M0 cStage3、下咽頭癌 (右梨状窩) cT1N0M0 cStage1と診断した。原発巣は径13cmと巨大で、大動脈背側のリンパ節にも転移を認めたため、この時点では切除不能と判断し、Induction ChemotherapyとしてDCF (Docetaxel + CDDP + 5-FU)を2コース施行した。治療効果判定のPET-CT検査にてPRであったため、CRT (DCF2コース + radiation:40Gy)へ変更した。原発巣、リンパ節は著明に縮小、リンパ節のuptakeも著明に低下した。しかし、原発巣へのuptakeは残存していたため、手術の方針とした。手術は食道亜全摘、2領域リンパ節郭清、胸骨後胃管再建を施行した。大動脈背側のリンパ節を摘除するため左開胸でアプローチした。術後病理診断はpT2N0M0 pStage2で組織学的治療効果判定 Grade2であった。術後45日目に紹介元へと転院となったが、術後60日目に左片麻痺が出現した。頭部CT, MRI検査では頭蓋内に異常所見は認めなかったが、その後右片麻痺も出現し、呼吸状態の悪化も認め、精査加療目的に当科転院となった。脊椎MRI検査にて頸髄 (C2)に髄内腫瘍を認め、食道癌の頸髄髄内転移再発と診断した。放射線照射を開始したが、直後にCO2ナルコーシス及び誤嚥性肺炎による急性肺障害を発症した。気管内挿管、人工呼吸管理は希望されず、BiPAPでの呼吸管理を開始したが、徐々に呼吸状態は悪化し、術後79日目に永眠した。悪性腫瘍を有する例で脊髄髄内転移が存在する頻度は0.9-2.1%で、脳転移では約20%と比較すると非常に稀である。原発として多いのは肺癌で約50%、次いで乳癌、悪性黒色腫、悪性リンパ腫の順と報告されており、食道癌が原発である症例の報告は本邦初例であった。 |
索引用語 | 食道癌, 頸髄髄内転移 |