セッション情報 ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」

タイトル WS1-02:

当院におけるクローン病に対する抗TNFα抗体の使用成績と実態

演者 古賀 章浩(佐田厚生会佐田病院消化器内科)
共同演者 頼岡 誠(佐田厚生会佐田病院消化器内科), 八坂 達尚(佐田厚生会佐田病院消化器内科), 八尾 恒良(佐田厚生会佐田病院消化器内科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)
抄録 【目的】抗TNFα抗体は本邦ではCrohn病(以下CD)の約30%に使用され、その有効性は確立されている。しかし、インフリキシマブ(以下IFX)の約25~40%に二次無効例が出現することが知られ、2010年10月より保険承認されたアダリムマブ(以下ADA)の有効性が議論されている。今回、非使用例の実態と、IFXとADAの短期効果を検討した。【対象と方法】当院診療中CD42例を、1.IFX・ADA非使用群、2-1.IFX使用群、2-2.IFXからADA変更群、2-3.ADA使用群の4群に分け、その臨床経過、治療経過を検討した。【成績1】CD42例中IFX・ADA非使用群は27例(64.2%)でその内訳は、a.著明な狭窄、合併症のため使用困難または使用を躊躇している症例が9例、b.軽度の臨床症状・病変例が11例、c.腸病変治癒持続例が7例であった。CD診断後の経過年数はa群9例で30-11年:8例、5年以下:1例、b群11例で31年以上:1例、30-11年:6例、10-6年:2例、5年以下:2例、c群7例で31年以上:1例、3011年:3例、5年以下:3例であった。経過良好群(b、c群)18例中10年以上の長期寛解例が12例(66.6%)を占めたが、栄養療法継続中の症例は4例(22.2%)に過ぎなかった。【成績2】IFX、ADAの治療成績は2-1.IFX使用群11例中4例が二次無効となり、患者希望によるADA変更の1例と合わせ、5例がADAに変更された。IFX継続中の6例すべてで寛解維持し、CRP陰性は6例であった。2-2.IFX→ADA変更群5例中4例が寛解維持、CRP陰性は5例であった。2-3.ADA使用群4例中1例を除き寛解維持、CRP陰性3例、寛解導入できなかった1例でCRP1mg/dl以上であった。【結論】抗TNFα抗体使用群は2例を除き有効性が認められた。しかし、一方で抗TNFα抗体非使用でも寛解維持が可能な症例も存在することが分かり、今後抗TNFα抗体使用については使用時期、形態学的所見・臨床経過などを考慮して選択すべきと考えられた。
索引用語 Crohn病, 抗TNFα抗体