セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研06:

初診時HBs抗原陰性であったB型急性肝炎の2例

演者 成田 翔平(長崎大学病院医療教育開発センター)
共同演者 赤嶺 摩依(長崎大学病院医療教育開発センター), 久保田 陽子(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 加茂 泰宏(長崎大学病院消化器内科), 山口 東平(長崎大学病院消化器内科DELIMITER日本赤十字社長崎原爆病院病理部), 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 鳥山 寛(日本赤十字社長崎原爆病院病理部), 市川  辰樹(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【症例1】39歳男性。肝機能障害の既往なし。肝疾患の家族歴なし。2週間前から続く感冒様症状を主訴に近医を受診した。感冒薬を処方されるも症状の改善なく、家人に黄疸を指摘され、4日後に同医を再診した。血液検査で著明な肝機能障害を指摘され、高次病院に紹介入院となり、急性肝炎重症型の診断で加療を開始された。入院後2日に羽ばたき振戦が出現、PT10%台と延長しており劇症肝炎の診断で同日当院転院となった。当院入院時検査ではHBs抗原陰性(CLIA法)、HBs抗体陽性、HCV抗体陰性であった。ICUに入室しCHDF、血漿交換を4日間行い、肝性脳症、肝機能の改善がみられた。入院後2日に血中HBV-DNA陽性、IgM-HBc抗体高力価陽性が判明し、HBV急性感染による劇症肝炎と診断しentecavir投与を開始した。入院後16日に肝生検を行い、病理学的にもHBV急性感染による劇症肝炎と矛盾しない所見を得た。病状改善し入院後19日に前医へ転院となった。【症例2】40歳女性。肝機能障害の既往なし。肝疾患の家族歴なし。2日前から39℃台の発熱、全身倦怠感、尿の濃染を自覚し近医を受診した。感冒薬を処方されるも症状の改善なく、4日後に同医を再診した。血液検査で著明な肝機能障害を指摘され、高次病院に紹介受診となった。PT 10%台と延長し急性肝炎重症型と診断、劇症化が懸念されたため同日に当院転院となった。当院入院時検査ではHBs抗原陰性(CLIA法)、HBs抗体陽性、HCV抗体陰性であった。入院当日からステロイドパルス療法を3日間行い、肝機能の改善がみられた。その後、血中HBV-DNA陽性、IgM-HBc抗体高力価陽性が判明し、B型急性肝炎重症型と診断した。入院後10日に肝生検を行い、病理学的にもB型急性肝炎と矛盾しない所見を得た。【考察】B型急性肝炎のうち約5~6%は、激しい免疫反応により、非常に急性な経過でHBs抗原が陰性化していると報告されている。B型急性肝炎の診断には、HBs抗原、IgM-HBc抗体、血中HBV-DNA定量を測定する必要性があると考えられた。
索引用語 急性肝炎, HBV