セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研16:

C型急性肝炎が慢性化した後に自然治癒した1例

演者 北村 哲生(長崎大学病院医療教育開発センター)
共同演者 久保田 陽子(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 加茂 泰宏(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 山口 東平(長崎大学病院消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 今西 大介(長崎大学病院原研内科), 鳥山 寛(日本赤十字社長崎原爆病院病理部), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 症例は56歳女性。肝機能障害、HBV、HCV感染を指摘されたことはなかった。肝疾患の家族歴はなかった。2009年5月に左下歯肉部の腫瘤を主訴に歯科を受診した。悪性リンパ腫を疑われ、当院血液内科に紹介となり、非ホジキンリンパ腫(大細胞性びまん性リンパ腫)と診断された。2009年6月~9月に化学療法(R-CHOP 6コース)を行い、寛解となった。同科で経過観察中の2009年10月に肝機能障害を初めて指摘され、UDCA内服を開始された。その後も肝機能障害が持続し、2010年4月に当科紹介受診となった。受診時HCV抗体陰性、HCV-RNA7.1logIU/mlとHCV-RNAが陽性でありC型急性肝炎と診断した。同年5月HCV抗体は陽性化し、HCV genotype 1b、HCV-RNA 5.4logIU/ml、ALT561IU/mlと肝機能障害が持続していた。同年6月にインターフェロン療法のため当科入院となった。肝生検では門脈域の軽微な線維化とリンパ球浸潤、ごく軽微なinterface hepatitis、小葉内のspotty necrosis、再生性肝細胞がみられ慢性肝炎(F1A1)に矛盾しない所見であった。入院時検査でAST 25IU/l、ALT 15IU/lと肝機能が正常化しており、血中HCV-RNAを再測定したところ、陰性化していたため、インターフェロン治療の導入を見送り経過観察とした。その後、24週間後のHCV-RNAは陰性でHCV抗体価の低下を認め、C型慢性肝炎の自然治癒と判断した。HCV感染者の約85%はウイルスを排除できず、種々の程度の慢性肝炎を発症し、慢性化した場合の自然治癒は稀である。C型急性肝炎が慢性化した後に自然治癒した1例を経験したので報告する。
索引用語 HCV, 急性肝炎