セッション情報 | ワークショップ5「難治性消化管疾患の外科治療」 |
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タイトル | WS5-01:腐食性食道狭窄に対する外科治療 |
演者 | 日高 秀樹(宮崎大学腫瘍機能制御外科) |
共同演者 | 前原 直樹(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 石崎 秀信(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 國枝 良行(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 麻田 貴志(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 千々岩 一男(宮崎大学腫瘍機能制御外科) |
抄録 | 【症例1】48歳、女性.自殺目的で苛性ソーダを服用.すぐに夫が気づき、救急車で救急病院に搬送された.咽喉部の浮腫が高度で、気道確保のための気管内挿管と胃洗浄を行った.第7病日の消化管内視鏡検査で全食道粘膜は発赤、浮腫、易出血性.気管支鏡では喉頭蓋の変形と声門の破壊を認めた.流涎が多く誤嚥性肺炎を繰り返した.第25病日の内視鏡検査では食道入口部の瘢痕狭窄のためスコープが通過不能であった.第68病日の食道透視で食道入口部から頚部食道に5cm程の高度狭窄を認めたが、それ以下の食道は内腔が保たれていた.第116病日に気管切開術、口腔内瘢痕切除術.第143病日に喉頭形成術、三角筋胸筋皮弁による食道形成術、第174病日に二期的食道再建術(前頚部の有茎皮弁)、口唇形成術を施行.その後吻合部を含めそれより下部の食道狭窄が進行し、通過障害の原因となったため、第307病日に食道全摘、胸骨後経路右側結腸再建術、空腸瘻造設術を施行。術後31日目より飲水を開始したが、誤嚥性肺炎を繰り返した.嚥下訓練により誤嚥が減少し、術後92日目より経口流動食を開始.吻合部狭窄が通過障害の原因となっていたため、内視鏡的バルーン拡張術を計7回施行し、経口摂取可能な状態となった.術後126日(受傷後433病日)退院.【症例2】23歳、男性.むしゃくしゃしてお菓子の袋から酸化防止剤(消石灰)を取り出し、水と一緒に服用した.受傷後3週間過ぎた頃から徐々に食道狭窄が進行し、経口摂取が困難になったため当科へ紹介された.食道造影では入口部付近を除く食道のほぼ全長に狭窄像を認め、内視鏡的バルーン拡張術による治療は困難と判断した.手術に際し喉頭を保存するため、頸部食道の狭窄は残し、術後に狭窄部に対しバルーン拡張術を行う方針とした.受傷から227日目に胸腔鏡下食道亜全摘、後縦隔経路胃管再建、腸瘻造設術を施行した.術後に頚部食道狭窄部のバルーン拡張術を施行し、経口摂取可能な状態となった.【結語】腐食性食道炎,食道狭窄は多くが自殺企図による受傷であり、患者の精神状態に配慮し、狭窄の部位・程度・症状に合わせた治療方針決定が必要. |
索引用語 | 腐食性食道狭窄, 外科治療 |