セッション情報 |
ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」
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タイトル |
WS6-09:膵石症に対するESWL・内視鏡併用療法の有用性と限界
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演者 |
大谷 圭介(朝倉健生病院消化器内科) |
共同演者 |
植木 敏晴(福岡大学筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科) |
抄録 |
[目的]従来、膵石症に対する治療は外科手術による膵石除去や膵管の減圧術が行われてきた.内視鏡治療を行うも治療困難で、患者が外科的治療ではなく内科的治療を希望することも多い.そこで今回当院で施行した膵石症に対する非観血的治療の成績について検討し、ESWLと内視鏡治療の有用性と限界を明らかにすることを目的とした.[対象と方法]2009年7月から2011年8月に当院でESWL・内視鏡治療を行った膵石症13例を対象とした.年齢は平均58.9歳で、男性12例、女性1例であった.成因はアルコール性12例、特発性1例であった.膵石の大きさは平均18.9mm、結石数は単発が7例(53.8%)、多発が6例(46.2%)で、結石の存在部位は頭部が5例、体部が7例、尾部が1例であった.治療内容はESWLが平均6.2回、内視鏡治療回数は平均5.2回で、入院期間は平均37.5日であった.検討項目:(1)短期治療成績として1)疼痛消失率、2)膵石除去率、3)偶発症について、(2)治療困難例に対する検討として入院期間、ESWL回数、内視鏡治療回数、除石不成功の4項目に影響を及ぼす因子について、(3)長期治療成績として膵炎の再燃、膵石の再発について検討した.[結果](1)短期治療成績:1)疼痛消失率は100%であった.2)ESWLと内視鏡治療を併用した膵石除去率は76.9%であった.3)偶発症発生率(膵炎)は、ESWL59回中5例(8.5%)、内視鏡治療70回中8例(11.4%)であった.(2)治療困難例に対する検討:膵管狭窄例にESWL回数が多く(P=0.026)、除石不成功例が多かった(P=0.035).膵石が除去できなかった症例は3例が高度狭窄合併例であり、そのうち2例が膵石の長期follow例であった、(3)長期治療成績:膵石治療後の平均観察期間は7.8ヶ月(1.3~23.9ヶ月)で、膵炎を再発した症例はなかったが、1例(7.7%)で膵石の再発を認めた.[結論]膵石症に対するESWLと内視鏡治療の併用療法は合併症も少なく有用な治療法であった.膵管の高度狭窄例では截石が困難であり、膵管狭窄形成早期に治療が必要であろう. |
索引用語 |
膵石症, ESWL |