セッション情報 | シンポジウム2「慢性肝炎治療の現況」 |
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タイトル | S2-07:肝炎助成申請からみたB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤治療の現状 |
演者 | 熊谷 公太郎(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 宇都 浩文(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 大野 香織(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 椨 一晃(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 最勝寺 晶子(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 今中 大(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 呉 建(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 馬渡 誠一(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 下高原 哲郎(鹿児島県保健福祉部健康増進課), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【背景・目的】肝炎対策基本法により鹿児島県では2010年5月からB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤治療が助成の対象となり、インターフェロン治療に対する申請よりも助成申請者数が飛躍的に増加した。この背景にはB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の有効性が一因と考えられるが、治療効果が十分得られない患者も存在する。今回は、B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤治療の助成申請を更新した対象者を中心に、治療の現況を報告する。【方法・結果】2011年7月までにB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤治療助成申請を新規に行ったのは769例、更新申請は503例で、更新申請を行った患者のうち、新規申請時と更新時のHBV DNA量が確認できた494名を対象とした。更新時にウイルス量が検出感度以下の症例は376例(76.1%)で、ウイルス量が定量出来た118例(23.9%)のうち4Log/ml未満の低ウイルス量患者が88例、4Log/ml以上の高ウイルス量患者は30例であった。また、この中で更新時までに治療変更されていた症例はそれぞれ376例中10例(2.7%)、88例中2例(2.3%)、30例中6例(20%)であった。治療変更されていない高ウイルス量患者24例のALT値の平均(範囲)は33.8IU/L(16~86IU/L)、血小板数の平均(範囲)は17.2(5.9~27.4×104/μl)で、ALT31IU/L以上の患者が10例存在し、そのうち7例は前回申請時もALTは31以上であった。さらに、治療変更されていない高ウイルス量患者24例の治療内容はETV 8例、LAM 6例、LAM+ADV 6例、ADV 1例、その他3例であった。高ウイルス量患者で治療変更されていた6例はETV+ADV 3例、LAM+ADV 2例、ETV 2錠増量 1例に変更されていた。【考察】今回の検討から、B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の治療効果が十分得られていない症例も比較的多く存在すると考えられた。また、核酸アナログ製剤投与により十分な効果が得られていないにもかかわらず、治療変更されていない症例も存在する可能性が示唆された。核酸アナログ製剤の併用治療法などの啓蒙がさらに必要である。 |
索引用語 | B型慢性肝疾患, 核酸アナログ |