セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研20:

急性肝不全を合併した血管内リンパ腫(IVL)の一例

演者 久米 大輔(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 川畑 哲史(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 加茂 泰広(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 久保田 陽子(長崎大学病院消化器内科), 山口 東平(長崎大学病院消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 今泉 芳孝(長崎大学病院原研内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 症例は75歳男性。コントロール不良の糖尿病と、Cr:3mg/dl台の腎症、網膜症、高血圧症を前医で長年治療されていた。20xx年3月、前医血液検査にてPlt:2.3万/μl、Hb:8.6mg/dlと低下を認め、同院で精査。骨髄異形成症候群が疑われたが確定診断に至らず、その後自然経過にてPlt:11万/μlと回復し、貧血の進行もなく、同院外来で経過観察されていた。20xx年7月下旬から38℃台の発熱と全身の筋肉痛が出現。感冒薬で対処するも持続するため、同年8月3日に同院を受診。血小板減少、肝機能異常、炎症反応高値を認め入院となった。B型肝炎、C型肝炎は否定的で、各種培養検査陰性。腹部CTでは特記所見なく、発熱、肝障害の原因は不明であった。薬剤性肝障害や胆道感染など考慮され、mPSLや抗菌剤が投与されたが肝機能の改善は認めなかった。腎機能障害も進行し、同年8月10日、透析も含めた精査加療目的で当科転院となった。PS-4で貧血、黄疸あり。明らかな肝脾腫なし、腹部は緊満感し腹水をみとめた。意識は清明であったがHb:6.7g/dlの貧血と Plt:1.4万と血小板減少をみとめ、PT:24%, Fib:88mg/dl, FDP:49.9μg/dl, D-dimer:44.8μg/mlと凝固異常、Cr:7.25mg/dlの著明な腎機能障害をみとめた。入院後はICU入室し、赤血球MAPおよび血小板輸血やCHDFを開始した。また重症肝障害に対しmPSL投与。sIL-2R:19176U/mlと著明高値判明し、血液疾患を考慮して骨髄穿刺を施行。細胞質に空砲を伴う大型異型細胞をみとめ、また血球貪食像を伴うマクロファージの増生も認め、悪性リンパ腫の疑いおよび血球貪食症候群と診断した。免疫染色で大型の異型細胞はB細胞マーカーが陽性で、大細胞型B細胞リンパ腫が疑われ、臨床病態から血管内リンパ腫に矛盾しないと考えられた。International Prognostic IndexはHigh riskであった。診断確定前に化学療法が検討されたが、PS4と著しく不良のため実施不可能で、入院第9病日に永眠された。肝機能障害を主徴とし、血球貪食症候群と骨髄浸潤をみとめ、急激な経過をたどった悪性リンパ腫の症例であり、文献的考察を加え報告する。
索引用語 血管内リンパ腫, 肝不全