セッション情報 ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」

タイトル WS1-05:

長崎大学病院消化器内科および関連病院のクローン病患者に対するアダリムマブの短期治療効果、副作用に関する検討

演者 森崎 智仁(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 松島 加代子(長崎大学病院消化器内科), 赤澤 祐子(長崎大学病院消化器内科), 山口 直之(長崎大学病院消化器内科), 塩澤 健(長崎大学病院消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学病院消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 福田 英一郎(佐世保市立総合病院消化器内科), 小田 英俊(佐世保中央病院消化器内科), 西山 仁(長崎医療センター消化器内科), 松本 章子(長崎成人病センター消化器内科), 中尾 英人(長崎原爆諫早病院消化器内科), 池田 幸紀(長崎市立市民病院消化器内科), 山川 正規(長崎市立市民病院消化器内科), 池田 真帆(光晴会病院消化器内科), 角川 淑子(嬉野医療センター消化器内科), 宿輪 三郎(三佼会 宮崎病院消化器内科), 陳 俊全(春回会 井上病院消化器内科), 牧山 和也(春回会 井上病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【目的】アダリムマブ(ADA)はクローン病に対する新たな生物学的製剤として2010年10月に保険承認された。今回我々は、当院および関連病院のクローン病患者におけるADAの短期有効性及び安全性について検討した。【対象と方法】2010年11月~2011年8月までの当院および関連病院においてADAが投与されたクローン病31例を対象とした。検討1:ADA投与前と投与2、4、8、12週後のCDAI(Chrohn's Dease Activity Index)値を比較検討した。検討2:インフリキシマブ(IFX)二次無効からの切り替え症例とナイーブ症例、それぞれの寛解率の推移をADA投与前、2、4、8、12週後において検討した。検討3:ADA投与後に認めた有害事象についても解析を加えた。【成績】患者背景は、男性23例、女性8例で平均年齢は31.8(17-45)歳であった。病型は小腸型5例、小腸大腸型22例、大腸型3例であった。IFX投与歴がある症例が22例で、ない症例は9例であった。検討1:ADA投与前の平均CDAI値は183.6(±74.8)であり、投与2週後(124.5)、4週後(128.2)、8週後(107.7)、12週後(115.1)であった。ADA投与前と比較し、どの期間においても有意差をもってCDAI値は低下していた。検討2:IFX二次無効からの切り替え例ではADA投与前の寛解率は18%であり、投与8週後には86%となったが、12週後には50%と低下する傾向が伺えた。一方、ナイーブ症例に関しては12週後においても89%と良好な寛解率を維持できた。検討3:穿刺部の皮疹を2例、好中球減少1例、汎血球減少1例(ADA中止)、ループス様症候群1例(ADA中止)の有害事象を認めた。【結論】生物学的製剤の投与歴がない症例に対して、良好な寛解導入および維持率を認めた。IFX二次無効例からの切り替え例においても、効果を示す症例もあり、今後ADAはIFX二次無効例の対策の一つになると思われた。有害事象として血液毒性を示す可能性があり、定期的な血液検査による経過観察が重要と考えられた。
索引用語 クローン病, アダリムマブ