セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専28:腹腔鏡下胃全摘術後の注意すべき合併症~食道裂孔ヘルニア嵌頓の1例~ |
演者 | 脇山 幸大(佐賀大学医学部 一般・消化器外科) |
共同演者 | 池田 貯(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 浦田 雅子(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 中村 淳(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 井手 貴雄(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 梁井 公輔(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 古賀 靖大(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 小池 健太(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 隅 健次(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 三好 篤(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 北原 賢二(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 能城 浩和(佐賀大学医学部 一般・消化器外科) |
抄録 | 【はじめに】近年普及しつつある腹腔鏡下手術は、癒着が少ないため、開腹手術と比較して術後の癒着性イレウスの頻度は低いとされている。しかし、胃全摘術(Overlap法)の場合、吻合の際にワーキングスペースの確保のために横隔膜脚を切離して食道裂孔を大きく開大する必要がある。そのため、開大した食道裂孔を通り、腸管が縦隔あるいは胸腔内へ脱出する危険性がある。今回、腹腔鏡下胃全摘術後に発生した食道裂孔ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスに対して、腹腔鏡下に整復した症例を経験したので報告する。 【症例】66歳男性。進行胃癌に対して、腹腔鏡下胃全摘術・D2リンパ節郭清・脾臓摘出術・Roux-en Y再建(Overlap法)をうけた。外来での経過観察中に、心窩部痛が出現し当科受診した。腹部造影CT施行したところ、小腸の縦隔内への脱出を認め、同部の腸管は拡張しており、心臓を背側より圧排していた。また、小腸壁の一部は増強効果に乏しく虚血が疑われた。以上の所見より、食道裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し、緊急手術を腹腔鏡下に施行した。腹腔鏡の観察では、胃全摘術時に結腸前経路で再建した挙上空腸が頭側へ変位し、食道裂孔から胸腔内へ脱出していた。絞扼による腸管壊死も疑われたため、腹腔鏡下に整復後、壊死腸管を切除し、手術を終了した。 【考察】今後、腹腔鏡下胃全摘術の普及に伴い、胃全摘後の食道裂孔ヘルニア嵌頓の発生頻度が高まることが予想される。現状では効果的な予防策はないが、裂孔の縫縮や腸管との固定も考慮する必要があると考える。横隔膜脚の委縮による裂孔の開大を避けるために下横隔動静脈の温存にも努める必要がある。 |
索引用語 | 腹腔鏡下胃全摘術, 食道裂孔ヘルニア |