セッション情報 一般演題

タイトル 088:

当科におけるC型代償性肝硬変に対する天然型インターフェロンα少量長期投与例の検討

演者 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 宮明 寿光(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 加茂 泰広(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 久保田 陽子(長崎大学病院消化器内科), 山口 東平(長崎大学病院消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【目的】天然型IFNα(n-IFNα)少量長期投与はHCV駆除を目的としたIFN治療が困難な高齢者や線維化が高度な症例に対し行われてきた。本治療は高齢者のC型肝硬変患者にも安全に投与でき、IFNによる肝線維化抑制効果や抗腫瘍効果を期待して投与される。今回我々は当科におけるn-IFNα少量長期投与例の臨床成績を評価することを目的とした。【方法】2004年4月から2011年8月までの間に当科でn-IFNα少量長期投与(300万単位週2-3回投与)が行われた症例を抽出した。全症例について臨床背景や生化学データ、ウイルス学的データを調査した。【成績】当科でn-IFNα少量長期投与を行った症例は9例で全症例が臨床的に肝硬変症であった。投与時の平均年齢は67歳、男性2名、女性7名、血清型は全例が1型であった。n-IFNα投与量は週2回投与が5名、3回投与が4名、投与期間は平均25.8か月、肝細胞癌の既往歴を有する患者はいなかった。全例がUDCA 600mg/日を内服しており、BCAA製剤は5例が内服しておりいずれもn-IFNα投与時に開始された。血液検査の変化はn-IFNα投与前がWBC 3133/μl、Hb 12.2g/dl、Plt 9.8万/μl、Alb 3.6g/dl、T-bil 1.0mg/dl、AST 78.9 IU/L、ALT 76.3 IU/L、TC 154.3mg/dl、AFP 21.2ng/ml、投与後がWBC 3444/μl、Hb 11.7g/dl、Plt 8.3万/μl、Alb 3.6g/dl、T-bil 1.0mg/dl、AST 55.1 IU/L、ALT 46.1 IU/L、TC 141.1mg/dl、AFP 6.7ng/ml(いずれも平均値)であった。HCVのウイルス量についてはTaqmanリアルタイムPCR法で測定感度以下になっている症例が2例あった。IL28B rs8099917遺伝子多型はTTが7例、TGが2例であり、TGの症例ではn-IFNα投与後のトランスアミナーゼの改善が乏しかった。【結論】n-IFNα少量長期投与の有効性は当科の9症例においても確認された。一方で本治療が奏功しない症例があることも確認され、その理由は依然として明確にはされていない。n-IFNα少量長期投与とIL28B SNPとの因果関係については治療法選択の基準における今後の検討課題の一つと考えた。
索引用語 IFN少量長期, C型肝硬変