セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
097:Modified RECISTでは治療効果判定が困難であったが,約1年間のSorafenibの長期投与が可能であった進行肝細胞がんの1例
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演者 |
秋山 巧(佐賀県立病院好生館) |
共同演者 |
蒲池 紗央里(佐賀県立病院好生館), 大塚 大河(佐賀県立病院好生館), 藤本 優(佐賀県立病院好生館), 川添 聖治(佐賀県立病院好生館) |
抄録 |
【はじめに】肝細胞癌において,分子標的薬の治療効果判定に関しては,modified RECIST(m-RECIST)が推奨されている。今回m-RECISTにて治療効果判定を行い,総合判定はPDであったものの,腫瘍の一部に造影CT早期層における濃染の消失を認めたため,治療継続とし,副作用をコントロールしながら約1年間の長期継続投与が可能であった示唆に富む症例を経験した。【症例】81歳男性 【現病歴】2005年8月,肝細胞癌(StageIII)と診断されRFA施行された。2008年9月以降,肝細胞癌再発に対し繰り返しTACE,RFAを施行するもコントロール不能となり2009年11月よりSorafenib800mg/dayを投与開始した。投与2週間後にGrade3の手足症候群(HFS)を発症し,Sorafenibの休薬,ステロイド外用などの投与を行った。症状改善後に,Sorafenib400mg/dayで投与再開した。2010年3月,新規病変の出現のため総合判定ではPDであったが,標的病変はm-RECISTにてCRであり,side effectもコントロールされていたため治療継続とした。投与8か月には,Grade3の食欲不振の発現を認めたため,Sorafenibの休薬と補液投与を行った。症状改善したためSorafenib200mg/dayにて治療継続とした。その後,400mg/dayまで増量した。PSの低下のため2010年11月に治療終了とした。【考察】本症例は,Sorafenib投与によるHFSをはじめとするさまざまなside effectに対し,Sorafenibの休薬,減量,再増量等で何とかside effectをコントロールしながら,約1年にわたり治療が継続可能となった。治療効果に関しては,新規病変の出現,増大のために総合判定はPDとなるものの,標的病変がCRとなったこと,また経過とともに増大した新規病変が,突如,造影CT早期層での濃染が消失するというRECIST, m-RECISTでは既定されない治療効果を示した。肝細胞癌に対するSorafenib治療の中止,継続に関しては,現在推奨されている効果判定のみでなく,投与継続することでのメリットと投与中止のデメリットなどを総合的に判断することが必要であると教訓となる症例であった。 |
索引用語 |
肝細胞がん, sorafenib |