セッション情報 一般演題

タイトル 095:

非硬変肝の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に発生した肝細胞癌の1切除例

演者 則松 宏(朝倉医師会病院 消化器内科)
共同演者 梶原 雅彦(朝倉医師会病院 消化器内科), 田口 順(朝倉医師会病院 消化器内科), 熊本 正史(朝倉医師会病院 消化器内科), 馬場 真二(朝倉医師会病院 消化器内科), 城野 智毅(朝倉医師会病院 消化器内科), 末次 理成(朝倉医師会病院 消化器内科), 石井 邦英(朝倉医師会病院 消化器内科), 上野 隆登(朝倉医師会病院 消化器内科), 安倍 弘彦(朝倉医師会病院 消化器内科), 今村 真大(朝倉医師会病院 外科), 佐田 通夫(久留米大学 消化器内科)
抄録 【症例】63歳,男性。飲酒歴なし。脂肪肝,糖尿病,脂質異常症にて近医で治療中であった。2010年10月27日,健診の腹部超音波検査で肝臓に腫瘤性病変を指摘され,11月9日に当科紹介となった。当科での腹部超音波検査で肝S4-8に35mm大の結節を認め,造影CTでは早期相でenhance,後期相でwash outされる多血性腫瘍であった。造影MRIでもCTと同様に造影され,肝細胞造影相にてup takeを認めなかった。血液検査所見では肝機能異常はなく,HBs抗原,HBc抗体,HCV抗体,抗核抗体はすべて陰性であり,血中銅,尿中銅,血中セルロプラスミンも正常範囲内であった。腫瘍マーカーは,AFP 347.9ng/mL,AFPL3 89.1%,PIVKA-2 232mAU/mLと高値であった。以上より,非硬変肝に発生したStage2の肝細胞癌と診断し,同年12月13日に肝切除を施行した。肉眼的には大きさ35×28mmの多結節癒合型で,組織学的には索状構造をなす中分化型の肝細胞癌であった。背景肝は高度の脂肪化,好中球を含む炎症細胞の浸潤,肝細胞周囲の線維化を認めることから,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と診断した。肝硬変を示唆する偽小葉の形成はみられなかった。【まとめ】肥満に伴う糖尿病,脂質異常症,高血圧症等の合併症が見られた場合,脂肪肝の存在を確認する必要がある。脂肪肝がみられれば,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を念頭に置き,注意深い経過観察が必要である。通常非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変に肝細胞癌は発生するが,まれに非硬変肝の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)にも肝細胞癌が発生する。今回比較的若年で非硬変肝の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に発症した肝細胞癌の一例を経験したので報告する。
索引用語 NASH, 肝細胞癌