セッション情報 ワークショップ5「難治性消化管疾患の外科治療」

タイトル WS5-10:

潰瘍性大腸炎術後に発生した難治性痔瘻、尿道皮膚瘻の1例

演者 五反田 幸人(久留米大学外科学講座)
共同演者 赤木 由人(久留米大学外科学講座), 衣笠 哲史(久留米大学外科学講座), 岡 洋右(久留米大学外科学講座), 白土 一太郎(久留米大学外科学講座), 山口 圭三(久留米大学外科学講座), 龍 泰彦(久留米大学外科学講座), 田中 夏樹(久留米大学外科学講座), 大地 貴史(久留米大学外科学講座), 笹冨 輝男(久留米大学外科学講座), 白水 和雄(久留米大学外科学講座)
抄録 はじめに:クローン病に肛門病変を合併することは知られているが、潰瘍性大腸炎にも痔瘻・肛門周囲膿瘍が少なからず発生することが報告されている。その理由は、潰瘍性大腸炎による排便回数の増加や、テネスムスによって生じるincidental lesionとされ、一般的な痔瘻と同じ成因と考えられる。また、下部直腸で強い炎症が深部に波及すると直腸から周囲に進展する瘻管や膿瘍が生じうると考えられる。潰瘍性大腸炎術後に難治性痔瘻が発生することはまれで、当科で経験した症例を報告する。症例:47歳、男性。1984年に全大腸炎型潰瘍性大腸炎で大腸全摘術、回腸嚢肛門吻合術を施行され、術後経過は順調であった。2001年に痔瘻が出現し、低位筋間痔瘻の診断でlay-open法を施行。その後、半年、3年後と痔瘻の再発があり手術が施行された。仕事の都合で東京への転勤となった後、受診が不定期となった。2007年頃より、尿道皮膚瘻を認めるようになり、ストーマ造設を勧められたが患者が拒否し薬物治療のみを行っていた。2010年、加療継続のため当科へ紹介された。来院時、肛門周囲は発赤を呈し、びらんで強い炎症を呈していた。注腸造影検査では瘻孔を認め、MRI検査でも直腸肛門から尿道との瘻孔を認める所見であった。そのため、難治性痔瘻および尿道皮膚瘻の診断で、人工肛門造設術、膀胱瘻造設、肛門周囲膿瘍ドレナージ術を施行した。炎症は落ち着き、栄養状態も改善してきた。今後はさらなるQOL向上などを含め腹会陰式直腸切断術を検討しているところである。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 痔瘻