セッション情報 ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」

タイトル WS6-12:

GemcitabineおよびS-1への不応膵がん症例における追加化学療法の有効性についての検討

演者 久野 晃聖(国立病院機構九州がんセンター)
共同演者 藤山  隆(国立病院機構九州がんセンター), 杉本  理恵(国立病院機構九州がんセンター), 奥村 幸彦(国立病院機構九州がんセンター), 古川 正幸(国立病院機構九州がんセンター)
抄録 【目的】膵癌は5年生存率4%と極めて予後不良であり治療困難ながんのひとつである。切除不能膵癌においてはGemcitabine(以後GEM)やS-1が標準治療として用いられ生存期間の延長が認められているが、これら2剤が不応となった際、特にPSが良好な場合に今後の治療の選択において苦慮することが多い。そこで追加化学療法の有効性についてGEMおよびS-1ともに不応となった症例でBest supportive care(以後BSC)および追加化学療法を行った2群の生存期間について比較検討した。【対象】2005年1月から2011年8月までに組織学的に診断が得られた膵癌患者でGEMおよびS-1ともに不応となり経過を確認できた104例を対象とした。【方法】GEMおよびS-1に不応となった膵癌症例のうち何らかの追加化学療法を行った症例を治療群、追加化学療法を行わずBSCに移行した症例をBSC群とし、この2群間でそれぞれ、性別、年齢、初診時臨床病期、初診時血液検査所見(CRP、CEA、CA19-9)、PS、占拠部位、原発巣の最大径、遠隔転移の有無、外科的切除の有無、放射線療法の有無、心血管疾患の有無、最初の治療から2剤に不応となるまでの期間、2剤不応後の生存期間について比較検討した。【結果】治療群は45例(43.3%)で男性19例、女性26例、年齢が62歳(16-76)、BSC群は59例(56.7%)で男性32例、女性27例、年齢が65歳(41-82)であった。2群間で年齢は治療群でBSC群よりも低かった(P<0.01)。性別、臨床病期、初診時血液検査所見、初診時のPS、占拠部位、遠隔転移の有無、外科的切除の有無、放射線療法の有無、心血管疾患の有無、最初の治療から2剤に不応となるまでの期間には差はなかったが、発症時原発巣の最大径は治療群で小さかった(P<0.01)。2剤不応後の生存期間はPS≦2の治療群で長かった(P<0.0001)。PS≧3で治療群とBSC群では生存期間に差を認めなかった。【結論】GemcitabineおよびS-1に不応となった場合にもPS≦2と良好な場合は何らかの追加化学療法を行った場合にその後の生存期間が長く、今後3rd lineの化学療法の確立が望まれる。
索引用語 膵癌, 化学療法