セッション情報 | ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」 |
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タイトル | WS6-15:原発性硬化性胆管炎進行例に対する内科的治療 |
演者 | 宮瀬 秀一(健康保険 八代総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 浦田 昌幸(健康保険 八代総合病院 消化器内科), 山邊 聡(健康保険 八代総合病院 消化器内科), 本田 幸(健康保険 八代総合病院 消化器内科), 松野 健司(健康保険 八代総合病院 消化器内科), 吉岡 律子(健康保険 八代総合病院 総合内科), 近澤 秀人(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤山 俊一郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理), 田中 宏史(自衛隊熊本病院 内科) |
抄録 | 原発性硬化性胆管炎(PSC)は原因不明の進行性の胆汁うっ滞型肝障害である。究極的治療は肝移植であるが、黄疸が出現すると治療は難渋する。我々は黄疸が出現したPSCで薬剤投与、胆管ステント留置術が有効であった2症例を経験した。【症例1】45歳、女性。胆のう切除術後に胆汁うっ滞型肝障害を指摘された。MRCPおよびERCPにてPSCと診断されてウルソデオキシコール酸(UDCA)が投与され、ときおり胆管炎を発症するも抗生物質投与およびベザフィブレート追加にて経過は良好であった。2009年10月、全身倦怠感、黄疸が出現。肝内肝外胆管の高度狭窄あり、内視鏡的にチューブステント留置や狭窄部のバルーン拡張術を施行したが、T.Bil 13.8mg/dlまで増悪した。生体肝移植のコンサルトも行いつつ、胆管炎で浮腫による広範囲での胆管狭窄の可能性があると考えてプレドニゾロン(PSL)10mg/dayの投与を行ったところ、胆汁うっ滞型肝障害は速やかに改善した。PSLも中止でき、現在も経過はほぼ良好である。【症例2】58歳、男性。潰瘍性大腸炎、気管支喘息とともにPSCと診断されていた。UDCAおよびPSL投与されていたが、黄疸、肝予備能低下および食道静脈瘤もあり、1996年紹介となる。ERCPにて総胆管中下部および肝管は高度狭窄をきたしており、チューブステントではドレナージ不良と考えられた。当時肝移植が普及していなかったため、インフォームドコンセントを十分行った上で内視鏡的に総胆管内に金属ステントを留置した。臨床症状は改善し、数年間は経過良好であった。その後繰り返す胆管炎や胆管狭窄に対して抗生物質投与やチューブステントの追加留置などを行ったが、肝不全状態となり、金属ステント留置10年後に永眠された。【結語】 PSCでは胆汁うっ滞型肝障害に対してUDCA投与は一般的だが、ベザフィブレートも有用であった。また浮腫性の胆管狭窄では一時的なステロイド剤も有効と考えられた。器質的狭窄に対するステント留置術も有用と考えられるが、金属ステント留置に関しては種々の観点から慎重に施行すべきと考えている。文献的考察も含めて報告する。 |
索引用語 | 原発性硬化性胆管炎, 内科的治療 |