セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研11:肝細胞腺腫を発症した成人男性の一例 |
演者 | 大橋 和明(長崎大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 山口 東平(長崎大学病院 消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院 消化器内科), 久保田 陽子(長崎大学病院 消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院 消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院 消化器内科), 宮明 寿光(長崎大学病院 消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院 消化器内科), 金子 賢一(長崎大学病院 耳鼻咽喉科), 磯本 一(長崎大学病院 消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院 消化器内科), 中島 収(久留米大学医学部病理学講座), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】40歳男性、家族歴:父・兄に両頸部腫瘍あり。既往歴・生活歴:特記なし。2008年頃より左頚部に腫瘤自覚、その後次第に増大し近医耳鼻咽喉科受診される。頚部エコー・造影CT・MRI検査などにより傍神経節腫瘍を疑われ2011年1月に当院耳鼻咽喉科紹介受診となる。その精査にて腹部CTにてS6に径2cm大、外側区域に径1cm大の低吸収域を認め、さらに造影CTでは動脈相にて濃染像を示し、平衡相にて欠損像を示し転移性肝腫瘍も考えられ4月当科紹介となる。診察所見として左頚部に4cm、右頚部に1.5cmの腫瘤を触知するのみであった。採血検査ではPT63%、alb 3.2g/dl、CRP 6.7mg/dlと生化学検査にて異常を認めたが、肝炎ウイルスマーカーや自己抗体、腫瘍マーカーは陰性であった。画像検査では腹部エコーにて高エコー域を、造影エコーでは血管相にて軽度造影されたが、後血管相では背景肝と等エコー像であった。EOB-MRIも施行されT1DWにて低信号、T2DWでは高信号であり動脈相及び平衡相ではそれぞれ濃染像と欠損像を、肝細胞相では低吸収像を示した。画像上転移性肝腫瘍の他、高分化型肝細胞癌も鑑別として考慮され肝腫瘍及び背景肝の組織検査を行った。肝腫瘍組織所見では細胞密度増加と部分的に不規則な索状構造と高度脂肪化を認めるがN/C比は肝細胞癌のように増加や明瞭な偽腺管構造がなく、腫瘤部組織内部に門脈域は認めなかった。以上から多発性でもあること、背景肝の組織所見でも肝硬変や慢性肝炎などの所見を指摘されなかったことから肝細胞腺腫と診断された。【考察】肝細胞腺腫は若年女性に多く、経口避妊薬使用者や糖原病などが危険因子とされている。組織像として核異形・分裂像がなく結節内に門脈域を認めない、動脈性血管が発達しているなどの特徴がみられるが、しばしば高分化型肝細胞癌との鑑別が困難であることが多いとされる。今回肝細胞腺腫を発症した成人男性の一例を経験したので、若干の考察を加え報告する。 |
索引用語 | 肝細胞腺腫, 高分化型肝細胞癌 |