セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専88:十二指腸毛細血管拡張症にNSAIDs腸炎を合併した一例 |
演者 | 梶本 展明(宇佐高田医師会病院) |
共同演者 | 井上 邦光(宇佐高田医師会病院), 小野 英樹(大分大学医学部付属病院), 平下 有香(大分大学医学部付属病院), 内田 政弘(大分大学医学部付属病院), 安部 高志(大分大学医学部付属病院), 本村 充輝(大分大学医学部付属病院), 水上 一弘(大分大学医学部付属病院), 沖本 忠義(大分大学医学部付属病院), 兒玉 雅明(大分大学医学部付属病院), 村上 和成(大分大学医学部付属病院), 藤岡 利生(大分大学医学部付属病院) |
抄録 | 【はじめに】近年,高齢者の人口増加に伴い,関節痛や脳血管障害・虚血性心疾患の予防目的などで,低容量アスピリンを含むNSAIDsの長期使用が増加している。その結果,副作用である消化管粘膜傷害が臨床的に重要な問題となってきている。NSAIDsに起因する消化管病変としては胃潰瘍が良く知られており、一方下部消化管障害に関しても近年増加傾向であるが確立された治療法はない。今回低容量アスピリンによると思われる下部消化管潰瘍の1例を経験したので報告する。【症例】91歳、男性【主訴】タール便【現病歴】2011年6月3日にタール便を認めるようになり、6月6日に近医を受診した。Hb7.5mg/dlと貧血を認め活動性出血が疑われたため当院へ紹介入院とした。【治療および経過】入院時上部消化管内視鏡(GF)にて十二指腸に毛細血管拡張症を認めたためクリッピングにて止血した。しかしその後タール便を再び認めたため、再度GFを施行したが、出血は認めなかった。下部消化管内視鏡検査(CF)を施行したところ、直腸から回腸末端まで散在する潰瘍を認め、これによる出血と考えた。アスピリン内服中であることと、臨床経過よりNSAIDs腸炎を疑いアスピリン内服を中止した。その後、タール便は認めず、7月19日CFにて潰瘍病変が軽快したこと確認した。病理所見、便培養検査にて特異的な異常所見は認めなかった。【結語】今回の症例は十二指腸の毛細血管拡張症とNSAIDs腸炎を合併した症例であった。タール便を主訴として、上部消化管内視鏡にて異常があっても、NSAIDs内服患者においては、下部消化管内視鏡検査を考慮すべきであると考えた。 |
索引用語 | タール便, NSAIDs腸炎 |