セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研04:

ピルフェニドンによる薬物性肝障害の一例

演者 横尾 摩耶(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科)
共同演者 岡田 倫明(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 田代 宏樹(佐賀大学 呼吸器内科), 磯田 広史(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 中下 俊哉(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 高橋 宏和(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 岩根 紳治(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 高橋 浩一郎(佐賀大学 呼吸器内科), 尾崎 岩太(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 水田 敏彦(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 藤本 一眞(佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科)
抄録 【症例】61歳、男性【主訴】なし【現病歴】51歳時に特発性間質性肺炎と診断され、無加療で経過観察されていた。2011年4月(61歳時)に急性呼吸不全で当院入院しPSL投与開始、同年5月からピルフェニドン600mg内服開始し、その2週間後から維持量の1800mgまで増量された。その後当院呼吸器内科で定期受診をしていたが同年7月受診時にAST 498 IU/L, ALT 1194 IU/L, γ-GTP 679 IU/Lと上昇を認め肝臓内科紹介入院となった。【入院時身体所見】両側肺底部背側にfine crackle認めるほか特記所見なし。【検査所見】Plt 17.4万/μl, PT 97.7%, T-bil 2.6 mg/dl, LDH 401 IU/L, ALP 474 IU/L, HBs-Ag(-), HCV-Ab(-), ANA 40倍未満【入院後経過】入院時はPSL 17.5mg内服中。ピルフェニドンの急な中断は間質性肺炎を増悪させうるためピルフェニドンは10日間かけて漸減・中止とした。漸減中に経皮的肝生検施行。門脈周囲に好中球主体の炎症細胞浸潤を認め、小葉内には肝細胞の脱落、巣状壊死、出血、マクロファージの浸潤などを認めた。肝細胞障害型の薬物性肝障害と考えPSL 40mgに増量し以後、肝機能の改善を認めた。【考察】ピルフェニドンは特発性間質性肺炎の治療薬として2008年12月に販売開始となった。TNF-αなどの炎症性サイトカイン産生抑制と抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し、線維化形成に関与する因子を抑制する薬剤である。副作用として20%にγ-GTP上昇、5%以上にAST/ALT上昇などがあり、肝胆道系酵素上昇は光線過敏症(51.7%)に次いで多くみられる。しかし、今まで肝病理学的検討まで行った報告はない。今回の病理学的所見では肝細胞障害型、特に急性肝炎型の障害であった。【結語】今回ピルフェニドンによる薬物性肝障害に対して病理学的検討を行い、PSLが有効であった一例を経験したので報告する。肝障害は高頻度かつ重篤な副作用であり、機序解明の為に症例の蓄積が望まれる。
索引用語 薬剤性肝障害, ピルフェニドン