セッション情報 | ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」 |
---|---|
タイトル | WS6-16:膵頭十二指腸切除術後の肝内結石症に対し、2方向からPTCS下切石術を行った1例 |
演者 | 皆川 亮介(遠賀中間医師会 おんが病院) |
共同演者 | 松尾 瑞恵(九州大学大学院消化器・総合外科), 宮田 辰徳(九州大学大学院消化器・総合外科), 中川原 英和(九州大学大学院消化器・総合外科), 木村 光一(九州大学大学院消化器・総合外科), 梶原 勇一郎(九州大学大学院消化器・総合外科), 中ノ子 智徳(遠賀中間医師会 おんが病院), 末廣 剛敏(遠賀中間医師会 おんが病院), 杉町 圭蔵(遠賀中間医師会 おんが病院) |
抄録 | 【緒言】胆道再建の合併症の一つに肝内結石症がある。経口内視鏡による治療が困難なことが多くその治療には難渋することがある。今回我々は膵頭十二指腸切除術後8年目に発症し、総肝管より直接分枝した後区域枝に嵌頓しているため治療に難渋した肝内結石症を経験したので報告する。【症例】70歳の女性。膵のう胞腺腫に対し8年前に他院で膵頭十二指腸切除術が施行された。糖尿病のfollowのため当院内科へ紹介となったが、初診時の血液検査で肝・胆道系酵素の上昇を認めたため精査・加療目的に入院となった。CT、MRIで総肝管と後区域胆管内に結石を認めた。思い返せば2年ほど前から2~3ヶ月に1回寒気、ふるえを伴う発熱が出現しており、最近は頻度が増していたとのことであった。経口内視鏡では胆管空腸吻合部の観察が出来ず、PTCS下の切石術を行う方針とした。外側区域よりPTCDを行い、徐々にsize upしたPTCSチューブへ入れ換え37日目にPTCS下切石術を行った。総肝管内の結石は切石、排石が容易であったが、胆管空腸吻合部直上に分岐している後区域枝は、外側区域から挿入した胆道鏡では角度が合わず挿入が困難であった。なお吻合部の狭窄は認めていない。そこで後区域枝より新たにPTCDを行い、PTCSチューブのsize up後に外側区域枝、後区域枝の両方から胆道鏡を挿入し切石、排石を行った。計3回の切石術で完全に排石ができ、4回目のPTCSで遺残結石がない事を確認、入院後91日目に退院となった。【考察】後区域枝分岐部には物理的な狭窄は見られず胆道鏡の挿入は抵抗なく可能であったが、総肝管から観察した後区域枝の入口部は吻合による捻れ(屈曲)のためか前壁がかぶさり閉塞しているように見え、完全排石後のMRCPでもあたかも狭窄しているような所見であった。後区域の胆汁うっ滞により結石が形成され、それが総肝管方向へ拡がった可能性が考えられた。外側区域1方向からのPTCSでは切石困難であったが、後区域枝からもPTCSを行うことにより完全な切石・排石が可能となった。 |
索引用語 | 肝内結石, 膵頭十二指腸切除術後 |