セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専49:術前に診断し得た胆石イレウスの一例 |
演者 | 豊増 靖(大牟田市立病院消化器内科) |
共同演者 | 田宮 芳孝(大牟田市立病院消化器内科), 森田 拓(大牟田市立病院消化器内科), 安本 紗代(大牟田市立病院消化器内科), 大内 彬宏(大牟田市立病院消化器内科), 河野 克俊(大牟田市立病院消化器内科), 山内 亨介(大牟田市立病院消化器内科), 奥 雄一朗(大牟田市立病院消化器内科), 島松 一秀(大牟田市立病院病理診断科), 坂田 研二(大牟田市立病院消化器内科), 野口 和典(大牟田市立病院消化器内科), 衛藤 大明(大牟田市立病院外科), 佐田 通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門) |
抄録 | 【はじめに】胆石イレウスは比較的稀な疾患である。本邦での報告は全胆石症例の0.15-0.6%,全イレウス症例の0.05%,小腸閉塞の1%と非常に少ない。今回、我々は胆嚢十二指腸瘻を伴う胆石イレウスの一例を経験したので若干の文献的考察を交えて報告する。【症例】58歳女性。糖尿病で近医加療中であった。2011年7月4日より食欲不振、嘔気が出現し、近医を受診。血液検査で炎症反応の上昇を認め、補液療法と抗菌薬投与を行った。しかし、右季肋部の圧痛、左下腹部痛など自他覚所見の増悪と炎症反応持続高値を認めたため精査加療目的にて当院紹介入院となった。 腹部造影CTで5cm大の小腸内異物を認め、同部位を閉塞起点とし口側の腸管拡張を呈していた。また上部消化管造影検査にて、十二指腸から胆嚢管、総胆管、肝内胆管の順に逆行性に造影され、胆嚢十二指腸瘻が示唆された。以上より十二指腸穿通による胆石イレウスの診断に至った。絶食補液管理とし、イレウス管を挿入し腸管減圧を図り自然排石を期待したが改善はみられなかった。保存的加療の継続は困難と判断し、第9病日目に開腹下でイレウス解除術と穿通部の縫合閉鎖術を行った。摘出した結石は最大径5.5cmであり、成分は98%以上がコレステロールであった。【考察】近年、胆石イレウスは各種modalityによる質的診断向上に伴い、70%程度の術前診断が可能と報告されている。本症例は胆嚢十二指腸瘻の存在と、CT上胆石の位置移動の確認により術前診断が可能であった。治療に関して、保存的に自然排石可能な結石サイズは平均3.6cmとされる。しかし、その排石率は4~8%と低率であり、結果的に外科的結石除去が選択されることが多い。自然排石への期待する一方で、全身状態を見極め慎重に治療方針を検討する必要があると考えられた。 |
索引用語 | 胆石, イレウス |