セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研45:

当院の癒着性イレウス治療のストラテジー

演者 吉田 望(佐賀大学一般・消化器外科)
共同演者 隅 健次(佐賀大学一般・消化器外科), 奥村 隆志(佐賀大学一般・消化器外科), 梁井 公輔(佐賀大学一般・消化器外科), 古賀 靖大(佐賀大学一般・消化器外科), 中村 淳(佐賀大学一般・消化器外科), 池田 貯(佐賀大学一般・消化器外科), 能城 浩和(佐賀大学一般・消化器外科)
抄録 【はじめに】当科では癒着性イレウスに対する手術は腹腔鏡下に行うことを原則としているが、安全に腹腔鏡下に行うために若干の工夫を行っている。【対象と方法】適応は術前診断で絞扼性イレウスが否定的な癒着性イレウス症例である。当院の腹腔鏡下イレウス手術を中心とした、治療のストラレテジーを報告する。(1)術前閉塞部位診断:術前にイレウス管造影やCTによる腸管閉塞部位診断を行ない、ポート挿入部位決定の参考とする。(2)USによる非癒着部位マッピング:開腹既往のある患者が殆どであるため、術前に癒着のない部位をUSにて同定しておき、(1)で得られた情報と併せて腹腔鏡用のファーストポート挿入部位を決定する。(3) 腹腔鏡下イレウス手術:気腹により腹腔が拡大することで癒着部が牽引され解剖が明瞭となることも多い。腹腔鏡下観察のみでは、閉塞部位が同定できない場合、イレウス管が挿入してあれば術中造影を行うことも有効である。イレウス管からの造影は、イレウス解除後の通過障害の改善の確認にも用いることができる。【結果】一例を供覧する。患者は61歳、男性。腹腔鏡下胆嚢摘出術の既往あり。虚血性心疾患手術目的で入院となったが、入院後イレウスを発症。イレウス管からの造影およびCTにて臍部への癒着が疑われた。イレウス管による減圧後、腹腔鏡下癒着剥離術を施行した。術中所見では、小腸が捻転した状態で臍部前腹壁に癒着していた。腹腔鏡下に癒着剥離を施行した。イレウス解除が行えていることをイレウス管からの造影検査で確認した。術後経過は良好であった。本症例を含めて現在までに9例の腹腔鏡下イレウス手術を施行した。8例は癒着性イレウスで1例は内ヘルニアであった。9例中7例で完全腹腔鏡下に施行したが、腸管切除を行った2例では、1例小開腹併用、1例開腹移行した。現在までの成績も併せて報告する。【結語】十分な準備を行ったうえで手術に望めば、腹腔鏡下イレウス手術は安全かつ有効な術式である。
索引用語 イレウス, 腹腔鏡