セッション情報 一般演題

タイトル 163:

IPMN合併膵癌に対して膵全摘後, 7年後に肺転移にて再発を認めた一例

演者 藤山 隆(九州がんセンター 消化器肝胆膵内科)
共同演者 久野 晃聖(九州がんセンター 消化器肝胆膵内科), 奥村 幸彦(九州がんセンター 消化器肝胆膵内科), 杉本 理恵(九州がんセンター 消化器肝胆膵内科), 古川 正幸(九州がんセンター 消化器肝胆膵内科)
抄録 【症例】症例は67歳, 男性. 2000年よりA病院にて糖尿病に対して内服加療されていた. 2004年5月上旬より腹部膨満感, 易疲労感あり, 血糖コントロールも不良となったため, 精査目的で6月9日, B病院入院. 腹部US, CTを施行され膵頭部に径2.5cmの嚢胞性病変と主膵管拡張を認め当院紹介となった.MRIにて主膵管は体部で数珠状に拡張し, 主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下IPMN)とそれに由来した浸潤性膵管癌が疑われた. 経皮的胆管ドレナージにて減黄後, 消化器外科にて7月29日に膵全摘術が施行された. 術後診断はpT3N0M0,StageIII(中分化型管状腺癌)であった. その後, 化学療法は行わず外来にて経過観察をしていたが, 2010年8月より徐々にCA19-9の上昇を認め, CT上, 腹部再発はなく, 2011年3月7日のPET-CTにて左肺門部の腫瘤を認め, 4月25日のCTで増大を認めたため, 精査目的に5月10日に腹腔鏡補助下左肺下葉部分切除施行. 術中診断にて以前の膵癌と免疫組織学的特徴が類似しており膵癌の肺転移と診断した. 6月1日に再入院にて全身化学療法としてGEM単独療法を開始したが遷延する好中球減少(grade3)が出現し中止. 回復後, S-1単独療法を開始し, 重篤な副作用なく経過した. その後, 腫瘍マーカーの低下と, 肺転移巣の縮小を認め化学療法を継続中である. 本症例は膵癌に対して膵全摘後, 化学療法を施行せず経過観察にて術後7年後に肺転移にて再発した一例である. 通常消化管癌の治癒切除後の場合, 5年経過すればある程度完治したと考えられているが, 膵癌の場合切除後5年以上長期生存例の15~33%に再発死亡がみられ, 癌が治癒したとは安易に言えないといわれている. 当科での症例と他施設で長期生存例の報告における共通点など文献的考察を加えて報告する. 
索引用語 膵癌, 術後再発