セッション情報 一般演題

タイトル 078:

リンパ球幼若化試験にてハーブ茶(ボルトジンユ)が原因と診断した薬物性肝障害の一例

演者 大城 武春(琉球大学附属病院 第一内科)
共同演者 星野 訓一(琉球大学附属病院 第一内科DELIMITER琉球大学附属病院 光学医療診療部), 田中 照久(琉球大学附属病院 第一内科DELIMITER琉球大学附属病院 光学医療診療部), 柴田 大介(琉球大学附属病院 第一内科), 前城 達次(琉球大学附属病院 第一内科), 金城 福則(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学附属病院 第一内科), 本部 卓也(沖縄県立八重山病院), 金城 徹(沖縄県立八重山病院), 篠浦 丞(沖縄県立八重山病院)
抄録  近年健康食品による薬物性肝障害の報告が見られるようになっているが、今回我々はハーブ茶によると判断された薬物性肝障害を経験したので報告する。
 症例は58歳女性で、15年来の糖尿病に対して長期インスリン投与を行われている方である。これまで肝疾患の既往は無かった。
 友人から勧められ、入院の3ヶ月前からボルトジンユを煎じて1日4~5杯を摂取していたところ、1ヶ月前から倦怠感を自覚するようになった。3週間前から食欲低下を来し、2週間前に近医を受診された。その時点で血液検査にて黄疸(T-Bil 2.4mg/dl)と肝障害(AST 855IU/L, ALT 1360IU/L, ALP 613IU/L, PT 106%)を認め、前医へ紹介・入院となった。
 経過から薬物性肝障害が疑われ、肝生検を施行した上で処方薬を含めすべてを中止した。しかし2週間以上経過しても肝障害が遷延し黄疸が次第に進行(T-Bil 13.0mg/dl, AST 1170IU/L, ALT 784IU/L, ALP 491IU/L, γGTP 429)していったため、さらなる精査・加療目的にてに当院に転院されることとなった。
 入院時には著明な黄疸を呈してるものの意識障害はなく、肝腫大や腹水・皮疹等も認めていない。ウイルスマーカーは陰性で、自己抗体や免疫グロブリンも基準値内であった。肝病理結果ではリンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤と巣状壊死・好酸体を認め、小葉中心性の肝細胞の変性が散在しており急性肝細胞傷害と判断した。そこでステロイドパルス療法を行うと、黄疸と肝障害は順調に軽快した。
 その後のリンパ球幼若化試験にて同薬草が陽性反応を呈することが判明し、経過と併せて薬物性肝障害と判断された。
 同薬草は沖縄県内において糖尿病・高血圧に対する薬草として摂取されることがあるが、本患者のような肝障害を来した症例がほとんど無いことから、報告した。
索引用語 薬物性肝障害, リンパ球幼若化試験