セッション情報 ワークショップ5「難治性消化管疾患の外科治療」

タイトル WS5-04:

当科におけるクローン病に対する腹腔鏡補助下手術の現況

演者 真鍋 達也(九州大学)
共同演者 遠藤 翔(九州大学), 肥川 和寛(九州大学), 当間 宏樹(九州大学), 植木 隆(九州大学), 田中 雅夫(九州大学)
抄録 クローン病(以下、CD)は若年者に多く、術後再発による再手術の可能性があるため、整容性・入院期間短縮・コスト削減・癒着防止の点から腹腔鏡補助下手術(以下、LAP)は有用とされている。しかし比較的開腹移行率が高く、CDの多彩な病態により術式も多彩となるため、その厳密な適応は依然として明らかではない。今回当科で当科におけるCDに対するLAPの現況を報告する。当科ではCDに対するLAPの非適応条件を腸管皮膚瘻、複数回の開腹手術、骨盤底に広範囲な腸管癒着が予想される例としており、1996年1月以降当科にて施行したCDに対する腹部手術154例のうち51例(初回手術41例、再手術10例)にLAPを施行した。内訳は、男性30例、女性21例、平均年齢38.6歳(20-77歳)。病型は小腸型27例、大腸型4例、小腸大腸型20例で、開腹術(以下、OS)と比較すると小腸型・小腸大腸型が多かった。手術理由は狭窄45例、瘻孔12例、膿瘍形成10例、癌合併1例、出血1例(重複あり)で、OSより狭窄が有意に多かった。小開腹創は平均5.15cm(3-8cm)、術中内視鏡は44例に施行され、開腹移行は見られなかった。LAP群の平均手術時間327分(OS 304.1分)、平均出血量220.5g(OS 546.8g)、術後平均在院期間11.1日(OS 18.6日)であった。術後合併症は7例にみられたが、OPと比較すると有意に少なく(OS 32例)、特に創感染は見られなかった。再手術をLAPで施行した症例を初回LAP症例と比較すると、手術時間は有意に延長したが、出血量・在院日数には有意差はなかった。LAPの適応・術式・短期術後経過に加え、抗TNFα抗体製剤導入後の術後再発についても検討を加えて報告する。
索引用語 クローン病, 腹腔鏡