セッション情報 パネルディスカッション16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

上部消化管癌に対する鏡視下手術の長期成績

タイトル 外PD16-9:

当科における胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の治療成績

演者 山本 篤(大阪市立総合医療センター・消化器外科)
共同演者 森本 純也(大阪市立総合医療センター・消化器外科), 山下 好人(大阪市立総合医療センター・消化器外科)
抄録 胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は急速に普及しているが、その長期成績の妥当性は証明されていない。今回当科での長期成績を含めた腹腔鏡下胃切除術の治療成績について検討を行った。【方法】1999年1月から2006年12月に当科で行った根治切除となった腹腔鏡下胃切除術531例(腹腔鏡補助下幽門側胃切除術LADG420例、腹腔鏡補助下胃全摘術LATG66例、腹腔鏡補助下噴門側胃切除術LAPG45例)を対象とし治療成績を検討した。【結果】術式別の手術時間、出血量、在院日数はLADG/LATG/LAPGでそれぞれ243分/282分/248分、153ml/300ml/221ml、24.1日/29.1日/28.0日であった。合併症については、LADGで72例(17.1%)(縫合不全8例(1.9%)、腹腔内膿瘍13例(0.7%)、膵液瘻20例(4.8%)術後出血7例(1.7%)、腸閉塞3例0.7%、その他18例(4.3%))、LATGで24例(36.4%)(縫合不全4例(6.1%)、腹腔内膿瘍6例(9.1%)、膵液瘻5例(7.6%)術後出血1例(1.5%)、腸閉塞1例1.5%、その他7例(10.6%))、LAPGで11例(24.4%)(縫合不全3例(6.7%)、腹腔内膿瘍1例(2.2%)、その他7例(15.6%))であり、LATGの脾摘例において合併症発生率が高い傾向にあった。予後に関しては、再発死亡例は全体で16例(腹膜再発4例、肝転移4例、リンパ節再発3例、その他5例)に認められ、5年生存率ではpStage1A(383例)96.2%、1B(66例)95.2%、2(54例)76.0%、3A(15例)69.6%、3B(6例)54.5%であり、これまでの開腹手術の予後と遜色なかった。【まとめ】胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は、開腹胃切除術と同等の治療成績を示す可能性が高く、大規模臨床試験の結果が待たれるところであるが、LATGにおける高い手術難度と高い合併症発生率が解決すべき問題である。
索引用語 胃癌, 腹腔鏡下胃切除術