セッション情報 一般演題

タイトル

大動脈十二指腸瘻の1例

演者 小薮 雅紀(関西医科大学 香里病院)
共同演者 大宮 美香(関西医科大学 香里病院), 竹尾 元裕(関西医科大学 香里病院), 加藤 孝太(関西医科大学 香里病院), 廣原 淳子(関西医科大学 香里病院), 高橋 延行(関西医科大学 香里病院)
抄録 症例は66歳、男性。既往歴として2002年に腹部大動脈瘤に対しYグラフト置換術を施行。慢性腎不全のため当院で透析中であったが、2011年2月28日タール便を主訴に当院入院。緊急上部内視鏡検査を施行したが出血は認めなかった。その2週後に下血を認めたため下部内視鏡検査を施行。S状結腸と上行結腸に憩室を認めたが明らかな出血源はなかった。しかし1週間後に再度下血し下部内視鏡検査再検するも出血源は不明であった。翌日に再度吐下血し、この時の造影CTで腹部大動脈人工血管置換術後の中枢側吻合部が感染性の仮性動脈瘤となっており、十二指腸水平脚への破裂が疑われたため、上部内視鏡検査を施行し十二指腸水平脚に瘻孔を疑わせる病変を認めた。緊急で手術が行われたが、翌日多臓器不全で永眠された。大動脈腸管瘻は大動脈瘤の破裂が十二指腸内に向かって起こる一次性と、腹部大動脈瘤などの術後(多くは感染を契機として)に吻合部の破綻が十二指腸内に向かって起こる二次性があり、症例数としては二次性が圧倒的である。いずれも腸管内に破裂することから一気に大量の出血となることが多いが、吐下血を繰り返すために精査の後に診断される例もある。今回我々は、感染性腹部大動脈瘤が十二指腸と瘻孔を形成し、消化管出血を来した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 大動脈瘤, 十二指腸瘻