セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 虫垂炎を契機に発見された虫垂カルチノイドの2例 |
演者 | 尾崎 貴洋(三田市民病院 外科) |
共同演者 | 藤原 英利(三田市民病院 外科), 松本 晶子(三田市民病院 外科), 西村 透(三田市民病院 外科), 松本 拓(三田市民病院 外科), 藤田 恒憲(三田市民病院 外科), 和田 隆宏(三田市民病院 外科) |
抄録 | 虫垂カルチノイドは虫垂に原発する低異型度の腫瘍性内分泌細胞から構成された低悪性度の腫瘍であり、本邦では比較的まれとされている。今回虫垂炎手術を契機に発見された虫垂カルチノイドの2例を経験したので報告する。【症例1】16歳の男性。下腹部痛を主訴に当院受診し、腹部CTにて急性虫垂炎と診断され緊急手術を施行した。術中所見では虫垂先端部は棍棒状に腫大していたが、穿孔や膿瘍形成は認めず腫瘤も触知しなかった。術後の病理検索にて虫垂の中央部に索状に配列する異型度の低い腫瘍細胞の集塊がみられ、免疫組織染色にてChromogranin(+)、CAM5.2(+)、NSE(+)でありカルチノイドと診断された。脈管侵襲は不明瞭であり、深達度はssであった。追加手術として腹腔鏡下、回盲部切除を行ったが遺残腫瘍は認めなかった。【症例2】55歳の女性。上腹部痛を主訴に当院受診し腹部超音波検査で虫垂腫大と糞石を認め慢性虫垂炎の診断で本人の希望もあり手術となった。開腹時、腹水はなく、虫垂は軽度腫大あるも穿孔はなく粘膜面が浮腫状であった。術後の病理検索にて虫垂の内腔の拡大はなく軽度の壁肥厚を認め、リンパ濾胞の増生があり慢性炎様であり虫垂先端に粘膜下層から筋層にNestが散在しChromogranin(+)、CAM5.2(+)、Synaptophysin(+)でありカルチノイドと診断された。深達度はmpであった。追加切除は本人と相談の上、経過観察とした。虫垂カルチノイドは虫垂炎手術後の病理学的検索にて偶然発見されることがほとんどであるため、切除虫垂を病理診断に提出することが重要と考えられた。虫垂カルチノイドが偶然発見された場合、追加切除の必要性の判定が問題となる。腫瘍の大きさ・深達度・脈管侵襲・核分裂像・核異型などを勘案して決定されるのが一般的であるが、一定の基準がないのが現状である。自験例でも追加切除については主治医間において温度差が認められた。現在、両者とも再発を認めず、外来経過観察中である。 |
索引用語 | カルチノイド, 虫垂炎 |