セッション情報 |
ワークショップ1「上部消化器及び小腸出血における最近の動向」
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タイトル |
当院で内視鏡的止血術を施行した静脈瘤以外の上部消化管出血684例についての検討
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演者 |
籔田 隆正(市立堺病院 消化器内科) |
共同演者 |
塚本 祐己(市立堺病院 消化器内科), 北村 信次(市立堺病院 消化器内科) |
抄録 |
【目的と対象】最近の上部消化管出血の実態を明らかにするために、2004年1月から2011年4月までに当院で内視鏡的止血術を施行した上部消化管出血807例中、静脈瘤以外の上部消化管出血684例(ESD後出血は含まず)に絞り背景因子、治療成績および偶発症について、2005年までのI期、2006~2008年のII期、2009年以降のIII期に分けて検討した。【結果】平均年齢はI期59歳、II期68歳、III期67歳と高齢化傾向を、女性の比率はI期24%、II期31%、III期27%と増加する傾向を認めた。疾患別では消化性潰瘍の占める割合がI期82%、II期78%、III期69%と減少し、胃癌などの悪性疾患、angiodysplasiaなどの血管性病変が増加していた。基礎疾患有りは各期を通じて64%、NSAIDs内服歴も各期28%前後と変化を認めなかったが、抗血小板剤および抗凝固剤内服歴はI期21%、II期22%、III期27%と増加していた。止血術1回あたりの平均施行時間はI期42分、II期30分、III期37分。使用処置具では、APCは各期を通じて60%以上で使われており、ヒートプローブはI期まで、II期以降はクリップ法や止血鉗子の使用頻度が増加していた。処置に伴う偶発症は各期1~2例(1%以下)で主に誤嚥性肺炎であった。再出血例は各期10%前後、内視鏡止血術のみでの止血率は各期97%代を推移しており、不成功で適応のある症例はIVRや外科的手術が選択された。【結論】上部消化管出血患者は時代とともに高齢化し、抗血小板剤や抗凝固剤内服者が増加し、疾患も多様化していることが明らかとなった。内視鏡的止血術は有効で安全な治療法であるが、内視鏡的治療が困難な場合、速やかにIVRや外科的手術を考慮すべきである。 |
索引用語 |
内視鏡的止血術, 上部消化管出血 |