セッション情報 一般演題

タイトル

術前診断が困難であった肝血管肉腫の一例

演者 足立 哲平(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 早石 宗右(近畿大学 医学部 消化器内科), 有住 忠晃(近畿大学 医学部 消化器内科), 田北 雅弘(近畿大学 医学部 消化器内科), 北井 聡(近畿大学 医学部 消化器内科), 矢田 典久(近畿大学 医学部 消化器内科), 井上 達夫(近畿大学 医学部 消化器内科), 萩原 智(近畿大学 医学部 消化器内科), 南 康範(近畿大学 医学部 消化器内科), 鄭 浩柄(神戸医療センター中央市民病院 消化器内科), 上嶋 一臣(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科), 土師 誠二(近畿大学 医学部 外科), 武本 昌子(近畿大学 医学部 外科)
抄録 症例は72歳、男性。前医で胃癌のため平成21年10月に幽門側胃切除(Roux-Y再建)が施行された。平成23年8月の腹部造影CTで肝S4を中心に肝内に多発する腫瘍を認めたため精査したところ、針生検による免疫染色でCD34、CD31および第8因子関連抗原が陽性であったことから肝原発の類上皮血管内皮腫と診断され、経カテーテル的肝動脈化学塞栓術(TACE)が施行された。継続治療を目的として平成22年10月に当院当科に紹介となった。来院時の血液生化学的検査ではB型及びC型肝炎ウィルスは陰性で肝機能障害はなく、AFP、CEA及びCA19-9値は基準値以内であった。造影CTではS4に8cmの辺縁から不整に濃染される主病変のほか全肝に同様の腫瘍を認めた。SPET-CTでは肝内に大小の腫瘍すべてに集積を認めるものの遠隔転移巣は指摘されなかった。前医の病理診断どおりならば生物学的悪性度は低い症例が多いものの、本症例ではより悪性度が高いことを窺わせる所見も多い。そのため、診断的治療の意味合いからTACEを先行して外科的切除を行う方針となった。平成23年2月に肝中央二区域切除が施行され、病理学的診断は肝血管肉腫と診断された。その後について遺残病変はTACEを繰り返す方針であったが、術後直ぐから病勢の急速な伸展でTACEを施すことなく平成23年4月に永眠された。今回我々は術前診断が困難であった肝血管肉腫の1例を経験し、若干の文献的考察をふまえて報告する。
索引用語 肝血管肉腫, 類上皮血管内皮腫