セッション情報 シンポジウム2「下部消化管疾患における画像強調内視鏡の活用」

タイトル

NBI観察による早期大腸癌の深達度診断能の検討

演者 佐野村 誠(北摂総合病院 消化器内科)
共同演者 佐々木 有一(北摂総合病院 消化器内科), 樋口 和秀(大阪医科大学 第二内科)
抄録 【背景】早期大腸癌の内視鏡的治療適応の決定において,特に大腸内視鏡検査による術前の深達度診断は重要であり,各種modalityにおける深達度診断能の検討が行われている.【目的】NBI(Narrow-band imaging)診断とpit pattern診断による早期大腸癌の深達度診断能およびその限界について明らかにする.【対象・方法】2006年5月から2011年4月までに当院でpit pattern診断(工藤・鶴田分類)とNBI診断(広島分類:表面模様と微小血管の総合診断)をおこない, 内視鏡的あるいは外科的に切除された早期大腸癌79病変:M癌 48病変, SM-s(slight; <1,000μm)癌 7病変, SM-m(massive; >1,000μm)癌 24病変を対象とした.【結果】1) pit pattern診断(IIIL・IV型/ VI型軽度不整/ VI型高度不整/ VN型 pit pattern)において,M癌:35/ 13/ 0/ 0, SM-s癌:3/ 2/ 2/ 0, SM-m癌:1/ 3/ 17/ 3であった. 2) NBI診断(Type B/ C-1/ C-2/ C-3)において,M癌:27/ 21/ 0/ 0, SM-s癌:2/ 3/ 2/ 0, SM-m癌:2/ 3/ 16/ 3であった. 3) pit pattern診断においてVI型高度不整・VN型をSM-m癌の指標としたときの感度83.3%, 特異度96.4%,正診率92.4%であった. 4) NBI診断においてType C-2・C-3をSM-m癌の指標としたときの感度79.2%, 特異度96.4%,正診率91.1%であった. 5) 深達度診断の誤診例の検討では,いわゆるvillous tumorにおいて,pit pattern診断でIIIL・VI型軽度不整,NBI診断でType B・C-1でありながら病理組織ではSM-m癌であった浅読みの症例が多かった.【結語】早期大腸癌におけるNBI診断はpit pattern診断より優れている結果は得られなかったが,NBI診断は高い診断能があり,その簡便性から有用であると考えられた.但しvillous tumorのような病変では他のmodalityを併用する必要があると考えられた.
索引用語 早期大腸癌, NBI