セッション情報 | ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」 |
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タイトル | 膵腫瘍核出術‐当科における工夫‐ |
演者 | 山下 博成(神戸大学 肝胆膵外科) |
共同演者 | 松本 逸平(神戸大学 肝胆膵外科), 新関 亮(神戸大学 肝胆膵外科), 外山 博近(神戸大学 肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大学 肝胆膵外科), 後藤 直大(神戸大学 肝胆膵外科), 田中 正樹(神戸大学 肝胆膵外科), 白川 幸代(神戸大学 肝胆膵外科), 沢 秀博(神戸大学 肝胆膵外科), 上野 公彦(神戸大学 肝胆膵外科), 土田 忍(神戸大学 肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大学 肝胆膵外科), 楠 信也(神戸大学 肝胆膵外科), 堀 裕一(神戸大学 肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大学 肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大学 肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学 肝胆膵外科) |
抄録 | 【背景と目的】良性~低悪性膵腫瘍に対し、腹腔鏡下手術などの低侵襲手術や、機能温存を目的とした縮小手術が行われている。膵腫瘍核出術(EN)は低侵襲かつ残膵機能温存に優れた術式であるが、適切な症例選択と術中膵管損傷や術後膵液瘻等の合併症への対策が重要である。特に主膵管に腫瘍が近接した症例(主膵管近接例)では合併症予防の観点から定型的膵切除が行われる事が多い。今回我々のENの工夫と成績につき報告する。 【対象と方法】2003年1月から2011年4月までの期間、ENを施行した13例。男性6例、女性7例。平均年齢60歳(31~82歳)、平均腫瘍最大径25mm(10~64mm)、局在は膵頭部6例、体部6例、尾部1例であった。診断は神経内分泌腫瘍7例(うちインスリノーマ6例)、十二指腸GIST2例、MCC(微小浸潤癌)1例、SPN1例、lymphoepithelial cyst1例、脂肪壊死1例。主膵管近接例では術前に膵管ステントを留置し、術中エコーで腫瘍と主膵管との位置関係を確認しつつ核出術を行った。一方、主膵管と十分距離があり膵外に突出する腫瘍では腹腔鏡下核出術を行った。 【結果】腹腔鏡下手術2例を除く11例中7例(頭部6例、体部2例)は主膵管近接例で、膵管ステント留置下にENを施行した。主膵管までの平均距離は膵管ステント留置例、非留置例で2.5mm(0.5~9.7mm)、7.3mm(0.5~20mm)であった。ISGPF分類による膵液瘻はステント留置例でGrade A 2例、B 2例、非留置例でA 1例、B 2例であった。ステント留置の1例で術中主膵管損傷を認め、術後膵液瘻(Grade B)を来たしたが、ステントが治療の上でも有効で保存的に軽快した。 【結語】正確な術前診断を行い、根治性が損なわれない条件ではENは積極的に試みるべき術式である。主膵管と腫瘍との正確な位置関係の把握と、近接例においても術前膵管ステント留置を行うことにより安全にENが可能である。特に膵頭部腫瘍では膵頭十二指腸切除術を回避でき低侵襲性、機能温存のメリットは大きいと考えられた。 |
索引用語 | 膵腫瘍, 核出 |