セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | α-グルコシダーゼ阻害薬が関与した腸管気腫症に伴う門脈ガス血症の一例 |
演者 | 寺部 寛哉(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科) |
共同演者 | 坂谷 彰彦(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 太田 阿賀沙(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 内科), 笹井 保孝(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 西田 直浩(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 阪本 めぐみ(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 上ノ山 直人(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 松田 高明(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 土井 喜宣(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は86歳男性。糖尿病、高血圧、慢性心不全、心房細動等で他院通院加療中であった。平成23年1月、腹痛を主訴に当科紹介受診となった。腹部は軽度膨隆し全体に自発痛および圧痛はあるが腹膜刺激症状は認めなかった。血液検査では炎症反応上昇と腎機能低下を認めた。腹部CT検査では肝内に樹枝状の門脈ガス像、腸間膜静脈内にもガス像、小腸全域にわたり腸管内にガス貯留、下部小腸の腸管壁内に気腫像を認めた。以上より、この時点では腸管虚血に伴う門脈ガス血症と診断し、手術適応と考えられたが、高齢で基礎疾患も多く耐術不可能であり、入院の上保存的治療で経過観察する方針となった。絶食、輸液、抗生剤投与にて経過観察していたところ、炎症所見や腎機能なども徐々に改善した。排ガスも認め、食事開始後も経過良好で、CT上門脈ガスも消失したため入院3週間後に退院となった。一般に門脈ガス血症は緊急手術の適応の一つとされ予後不良のサインとされてきたが、本症例のように腸管壊死を伴わない症例では保存的に治療可能な場合もある。なお、本症例では入院約1ヶ月前より糖尿病に対してα-グルコシダーゼ阻害剤の投与を開始されていたことから、α-グルコシダーゼ阻害剤が関与した腸管気腫症から門脈ガス血症をきたしたと考えられた。α-グルコシダーゼ阻害剤が原因となった腸管気腫症の本邦報告例は少なく、さらに門脈ガス血症を伴う報告は稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 門脈ガス, αグルコシダーゼ阻害薬 |