セッション情報 ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」

タイトル

膵内副脾診断におけるSonazoid造影超音波検査の有用性

演者 牧野 祐紀(市立池田病院 消化器内科)
共同演者 関 康(市立池田病院 放射線科), 福田 和人(市立池田病院 消化器内科), 今井 康陽(市立池田病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】膵腫瘤性病変の鑑別疾患の一つに膵内副脾がある。副脾は治療不要だが、過剰治療を避けるためにその診断が重要である。副脾の組織学的特徴はhypervascularity、網内系細胞(RES)の存在だが、今回Sonazoid造影超音波検査(SEUS)により得られる血流動態及びRESの情報により膵内副脾を診断する試みを行ったため、その画像所見について報告し有用性を考察する。【対象】2008年~2010年に当院でBモード超音波(US)、CTで膵内副脾が疑われた8結節。【方法】GE社製LOGIQ7を用いvascular phase(VP)として静注後0~120sを、post vascular phase(PVP)として静注後30min以降を観察した。またPVPにおいてRESに集積したbubbleを高MI照射により崩壊し、その際に生じるDoppler信号を画像化する手法であるTruAgent Detection(TAD)を施行した。【結果】8結節全て膵尾部に存在し、USにてlow echoic noduleとして描出され、造影CTでは造影効果を伴う結節として描出された。5例にSPIO-MRIを施行したが、投与前後を比較し信号の低下を認めたのは2結節のみであった。SEUSでは全結節がVPで脾臓と同等に濃染し、Time Intensity Curveは脾臓実質とほぼ同じ曲線となった。PVPでは7結節が脾臓実質とiso、1結節はややlowであったが、TADでは全結節が明瞭な高信号を呈した。各結節とも最低6ヶ月以上画像的に経過観察を行い、増大を認めなかった。【考察/結語】我々はこれまでSEUSにより診断した膵内副脾の症例を報告してきたが(J Clin Ultrasound. 2011 Mar 21. Epub ahead of print)、今回、より多数の症例においてSEUSによって膵内副脾のhypervascularityおよびRESの存在を証明し得た。SEUSは従来膵内副脾診断に用いられてきたSPIO-MRIやシンチグラフィに比べ空間分解能が高く、経時的に観察できるなどそのリアルタイム性から、膵内副脾診断に極めて有用であった。放射線被爆、安全性、コスト、簡便性も含め、SEUSは今後膵内副脾診断のゴールドスタンダードとなり得る画像診断法であり、膵内副脾を含めた多血性の膵腫瘤性病変の鑑別のために考慮すべきモダリティの一つであると考えられた。
索引用語 副脾, Sonazoid