セッション情報 一般演題

タイトル

CTAのdefectがHCC診断の唯一陽性所見であった高分化型HCCの一症例

演者 音野 由美(神戸朝日病院 消化器科)
共同演者 金 守良(神戸朝日病院 消化器科), 井本 勉(神戸朝日病院 消化器科), 安藤 健治(神戸朝日病院 消化器科), 齊藤 純(神戸朝日病院 消化器科), 福田 勝美(神戸朝日病院 消化器科)
抄録 ≪症例≫69歳男性。DMの既往あり。Non B non C アルコール性LCを背景に肝内に2個(S4、S7に1cm大 低エコー結節)SOLあり。腫瘍マーカーはAFP 3.7ng/mL、AFPL3分画 検出不能、 PIVKA-2 18mAU/mLであった。S4、S7とも造影CT、ソナゾイド造影US、EOB造影MRIも早期相で濃染はみられなかった。造影CTにて後期相でwashoutなし、造影USにてKupffer相でdefectなし、EOB造影MRIの肝細胞相でもdefectはなかった。血管造影下CTを行なったところ、CTAでS4、S7の結節とも濃染なかったが、defectあり。CTAPではdefectはなかった。肝生検を行なったところ、S4、S7とも細胞密度の増加と索構造の明瞭化、小型の偽腺管様の構築が散見され、早期肝癌であった。又、S7は脂肪化もみられ、いずれも高分化型HCCと診断した。≪考察≫近年の画像診断の進歩により、とりわけ、EOB造影 MRIの登場により血管造影下CT(CTAP)のdefect(門脈の乏血性変化)よりもEOB 造影MRIの肝細胞相のdefectの方がsensitiveで、しかも、より早期のHCCを検出できるとされている。しかし、今回の我々の検討では、血管造影下CT(CTA)のdefect(動脈の乏血性変化)がHCC診断において唯一の陽性所見であった。肝癌の多段階発癌において、血流変化と肝細胞の脱分化との関係を病理学的に再検討した上で、早期肝癌検出における造影CT、EOB造影MRI、ソナゾイド造影US、血管造影下CTなどの画像診断の優劣について議論する必要がある。
索引用語 CTA, 高分化HCC