セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

回腸憩室炎が穿孔をきたした一例

演者 猪股 久美子(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科)
共同演者 門口 万由子(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 奥村 慎太郎(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 大石 賢斉(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 中川 沙織(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 肥田 侯矢(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 池田 房夫(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 伊丹 淳(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 京極 高久(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 外科), 石原 美佐(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 病理部), 橋本 公夫(財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター 病理部)
抄録 小腸憩室は非常に稀な疾患であり,その頻度は剖検で0.3~4.5 %と報告されている.今回我々は,腹部CTにて回腸憩室炎と診断し,腹部超音波検査にて腸間膜膿瘍を認めた症例を経験したので,多少の文献的考察を加えて報告する.症例は70歳代男性.2日前より持続する右下腹部痛と発熱を主訴に受診された.来院時,右下腹部に限局した腹膜刺激徴候を認め,WBC 10700 /μl CRP 16.7 mg/dlと炎症反応の著明な上昇を認めた.腹部造影CTにて,回腸末端に多発する憩室と周囲の腸間膜の脂肪織濃度の上昇を認めた.回腸憩室炎として保存的加療を開始したが,翌日の腹部超音波検査にて腸間膜内に膿瘍形成を認めたため緊急手術を行った.開腹すると,回腸末端より10cm口側付近の小腸間膜内に膿瘍を認めたため,小腸を15cm含む回盲部切除術を施行した.標出標本では回腸末端より約10cmの間に憩室が多発し,このうちの1つが膿瘍腔と交通していた.
小腸憩室は腸間膜側に存在し,本症例の様に腸間膜内に穿通し膿瘍を形成することが多い.本症は頻度の少ない疾患ではあるが、治療が遅れると致命的であるとの報告も散見されるため,腹部超音波検査や造影CTなどを用いて早期に診断,治療を行うことが重要である.回腸憩室炎,その穿孔は急性腹症の診断において,鑑別にあげるべき疾患であると考えられる.
索引用語 回腸憩室炎, 穿孔