セッション情報 | ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」 |
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タイトル | 当院における膵嚢胞性病変の予後の検討 |
演者 | 宮島 真治(天理よろづ相談所病院 消化器内科) |
共同演者 | 大花 正也(天理よろづ相談所病院 消化器内科DELIMITER天理よろづ相談所病院 内視鏡センター), 鍋島 紀滋(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 園山 浩紀(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 菊池 志乃(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 岡部 誠(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 森澤 利之(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 塩 せいじ(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 木田 肇(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 岡野 明浩(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 沖永 聡(天理よろづ相談所病院 消化器内科DELIMITER天理よろづ相談所病院 内視鏡センター), 久須美 房子(天理よろづ相談所病院 消化器内科) |
抄録 | (目的)膵癌の高危険群とされる分枝型IPMN、膵嚢胞からの膵癌発生率、また発生した膵癌の特徴につき検討する。(対象)2000年から2010年まで当院での腹部超音波で膵嚢胞性病変を指摘され、以後4か月以上経過観察が行われている症例1035例(男性468例、女性 567例)につきretrospectiveに検討した。尚主膵管型IPMNやMCN、SCN、仮性嚢胞は除外した。平均年齢は69.6(33-90)歳。嚢胞最大径平均12.5(3-60)mm、嚢胞数は単発765例(74%)、2-3個は175例(17%)、4個以上は95例(9例)。(結果)平均3.2(最長11)年の経過観察期間中、1035例中19例に膵癌の発生を認め、年率膵癌発生率は0.6%であった。経過観察後平均2.1(0.3~7)年で発見されており、膵癌診断時の年齢は平均72歳、男女比7:12。2005年年齢別膵癌のデータに基づく膵癌発生予想値は0.04%であり、膵嚢胞性経過観察による膵癌発生率は約15倍であった。19例中9例で手術施行。9例中通常型膵癌4例、IPMN由来浸潤癌5例。手術未施行例10例中IPMN由来浸潤癌と考えられる症例が2例、他8例は通常型膵癌の可能性が高いと考えられた。19例中stage1は4例、他15例はstage3以上であった。4例中3例はIPMN由来浸潤癌であり、通常型膵癌でのstage1は1例のみであった。膵癌が発生した19例の膵嚢胞性病変初回診断時の年齢、主膵管拡張の有無、膵実質輝度上昇の有無、嚢胞径、嚢胞数につき、膵癌非発生例と比較検討した。膵癌発生例では主膵管拡張が有意に高率(21.1%対11.8%)、また膵実質輝度上昇は有意に低率(10.5%対37.4%)であった。また通常型膵癌と考えられる12例では嚢胞径平均10.7mmと膵癌非発生例での平均12.6mmに比し小さい傾向を認めた。(考察)膵嚢胞性病変の経過観察により、高率に膵癌の発生が認められる。しかし特に通常型膵癌では長期生存が期待できるstage1膵癌は低率であった。膵癌発生例においては主膵管拡張例、膵実質輝度非上昇例の割合が有意に多く、膵嚢胞性病変の経過観察時に留意すべき所見である可能性が示唆された。 |
索引用語 | 膵嚢胞性病変, 膵癌 |