セッション情報 ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」

タイトル

IPMN結節様病変における造影EUSの有用性の検討

演者 山下 泰伸(和歌山県立医科大学 第2内科)
共同演者 上田 和樹(和歌山県立医科大学 第2内科), 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学 第2内科)
抄録 [背景および目的] IPMNは、さまざまな悪性度を示すことから、診断即手術というわけではない。国際ガイドラインでの手術適応は、有症状例、嚢胞径30mm以上、壁在結節の存在および主膵管拡張症例とされる。手術適応決定には、EUSが幅広く用いられおり、その理由として空間分解能に優れているため、他のモダリティーでは捉えられない壁在結節や隔壁肥厚の詳細な評価が可能であることが上げられる。しかし、粘液塊を壁在結節と診断し、手術が施行される例も少なからず存在するため、結節病変を正確に診断するためには、EUSによるBモードでの詳細な観察のみならず血流の評価が必要不可欠と考える。そこで、我々はIPMN患者のうち、EUSによるBモード観察で結節様病変を認めた症例に対し、壁在結節と粘液塊の鑑別に、パワードプラモードおよび造影EUSを用いた血流評価が有用であるかをretrospectiveに検討した。[対象と方法]2009年3月から2011年3月まで、IPMN患者のうち、EUSで結節様病変を認めた症例で、外科的切除され病理学的に評価可能であった10症例を対象とした。EUS装置はオリンパス社製GF-UE260-AL5とアロカ社ProSoundα10を使用した。まずBモードおよびパワードプラモードで嚢胞内の結節様病変を観察した。次にソナゾイド0.7ml/bodyを静脈投与し、ExPHDモードを用いて結節様病変の血流を評価した。[結果]病理学的診断の結果、6例に壁在結節を認めたが、残り4例には壁在結節は認められず、粘液塊と考えられた。パワードプラモードでは、結節様病変内に血流を認めなかった。造影EUSでは、壁在結節全例に血流を認めたが、残りの4例では血流を認めなかった。造影EUSを用いることにより、結節様病変内で血行動態に差異を認め、壁在結節と粘液塊の鑑別において感度、特異度ともに100%の診断が可能であった。[結論] 造影EUSは、血流を詳細に評価することができ、IPMN患者における壁在結節と粘液塊の鑑別に極めて有効である。。
索引用語 IPMN, 壁在結節