セッション情報 一般演題

タイトル

上腸間膜静脈原発平滑筋肉腫の一例

演者 久野 寧子(京都市立病院 消化器内科)
共同演者 吉波 尚美(京都市立病院 消化器内科), 岡本 直樹(京都市立病院 消化器内科), 松田 昌悟(京都市立病院 消化器内科), 高井 孝治(京都市立病院 消化器内科), 元好 貴之(京都市立病院 消化器内科), 西方 誠(京都市立病院 消化器内科), 山下 靖英(京都市立病院 消化器内科), 桐島 寿彦(京都市立病院 消化器内科), 新谷 弘幸(京都市立病院 消化器内科), 星合 壮大(京都市立病院 放射線診断科), 早川 克己(京都市立病院 放射線診断科), 浦田 洋二(京都市立病院 病理診断科)
抄録 【症例】77歳、女性【既往歴】高血圧、モヤモヤ病にて他院通院中。膵IPMNにて2年前より当科受診歴があった。【現病歴】便秘を主訴に近医受診され、臍上部に腹部腫瘤を指摘された。血液検査にてAST58IU/ml、ALT57IU/ml、LDH398IU/ml、γGTP344IU/mlと肝胆道系酵素上昇を認めた。腹部US、CTにて上腸間膜静脈壁に連続して存在する腫瘤および、肝両葉に多発腫瘤性病変を認め、精査加療目的で当科紹介された。US上、腫瘤は上腸間膜静脈内腔へ突出しており、血管外にも隆起性に発育を認めた。CT上、腫瘤は十二指腸水平脚レベルで上腸間膜静脈を占拠しており、内部に壊死を示唆する領域を認めた。上腸間膜動脈も全周を取り囲まれており血管内腔の狭小化を認めた。多発肝腫瘤は転移性腫瘍と考えられ、肝右葉には軽度の肝内胆管拡張を認めた。肝腫瘍生検を施行し、腫瘍組織では多形性に富んだ核と好酸性で空胞を伴った紡錐形の胞体を持った細胞がinterlacing bundleを形成して密に増生しており、分裂像もしばしば認めた。免疫組織化学的にはc-kit(-)、CD34(-)、S-100(-)、α-SMA(+)、desmin(+)で、MIB-1 index=30%と高い増殖活性を示す平滑筋肉腫と診断した。診断時より19ヶ月前の腹部CTを後方視的にみると上腸間膜静脈に十二指腸水平脚レベルで小腫瘤が指摘され、原発巣であると考えられた。消化管を含めその他の臓器には、画像上原発巣を指摘できず、上腸間膜静脈原発の血管内平滑筋肉腫と診断。他院にて抗癌剤の臨床試験に参加されたがPDの判定となり中止された。原発巣、肝転移巣の他、縦隔リンパ節および胸壁にも多数の転移巣が出現し、増大傾向を認めた。腫瘍の増大に伴って疼痛が増悪し、PS低下、全身状態増悪を認め、診断から約6ヶ月の経過で永眠された。【考察】血管原発の平滑筋肉腫の内、75%以上が下大静脈原発であるとされている。門脈系血管から発生した平滑筋肉腫の報告は2008年までで5例程度と僅かであり、稀な症例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 平滑筋肉腫, 上腸間膜静脈