セッション情報 |
ワークショップ1「上部消化器及び小腸出血における最近の動向」
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タイトル |
原因不明消化管出血に対する緊急小腸カプセル内視鏡の有用性
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演者 |
堀江 秀樹(京都府立医科大学 消化器内科) |
共同演者 |
半田 修(京都府立医科大学 消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学 消化器内科) |
抄録 |
原因不明消化管出血に対する緊急小腸カプセル内視鏡の有用性【背景】低侵襲な小腸内視鏡検査であるカプセル内視鏡検査は、様々な小腸疾患の診断において有用であることが報告されている。中でも、原因不明の消化管出血(OGIB)症例の診断においては圧倒的な威力を発揮する事が知られている。一方で、顕出血の最終的な責任病変診断率についてはいまだに高いとは言いがたい。その一因として、顕出血からVCEをおこなうまでのタイムラグの問題がある。【目的】今回我々は、OGIB症例の中でも顕出血症例に対する緊急カプセル内視鏡の有用性を検討した。【対象/方法】2008年1月から2010年12月までに当院でカプセル内視鏡を施行された224症例のうち、顕出血OGIBの51症例につき、カプセル内視鏡施行までの時間、責任病変の診断率、カプセル内視鏡施行後の経過等について検討した。なお当院では2010年1月に緊急内視鏡施行のシステムを確立しており、その前後における顕出血OGIB症例について特に詳細な検討をおこなった。【結果】全OGIB症例168例中、51例が顕出血症例であり、そのうち3例が顕出血後24時間以内施行の緊急カプセル内視鏡症例であった。また、9例で活動性出血の確認が可能であった。この9症例ではカプセル内視鏡で推測された出血部位に基づいて選択された経口的あるいは経肛門的内視鏡検査を施行し、責任病変を診断可能であった。内視鏡的治療を施行した症例は5例であった。既報のごとく、顕出血からカプセル内視鏡施行までの時間が短いほど責任病変の診断率が高くなる傾向が見られたが、医師の負担も大きく、今後、院内でのコメディカルの協力が不可欠であると考えられた。滞留等の合併症は認めなかった。【結論】緊急カプセル内視鏡は顕出血症例に対して有用である。現在、本邦では上部、下部消化管の精査をおこなっても原因不明の消化管出血に対して保険適応があるが、症例によってはカプセル内視鏡施行までのタイムラグが不利である場合もあり、可能であれば緊急カプセル内視鏡をおこなう事も選択肢のひとつとして考慮すべきである。 |
索引用語 |
カプセル小腸内視鏡, 原因不明消化管出血 |