セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | 肝細胞癌と類似した免疫染色の結果を示し、Sorafenibにて加療した原発不明癌の一例 |
演者 | 井上 知子(市立豊中病院 消化器内科) |
共同演者 | 福井 浩司(市立豊中病院 消化器内科), 高木 邦夫(市立豊中病院 消化器内科), 中本 泰生(市立豊中病院 消化器内科), 中堀 輔(市立豊中病院 消化器内科), 神下 真慶(市立豊中病院 消化器内科), 高橋 啓(市立豊中病院 消化器内科), 印藤 直彦(市立豊中病院 消化器内科), 澤村 真理子(市立豊中病院 消化器内科), 市場 誠(市立豊中病院 消化器内科), 稲田 正己(市立豊中病院 消化器内科), 佐藤 巌(市立豊中病院 整形外科), 西本 俊介(市立豊中病院 整形外科), 足立 史郎(市立豊中病院 病理診断科) |
抄録 | 【症例】57歳男性【主訴】背部痛【既往歴】特記事項なし【現病歴】2010/10/20に突然背部の激痛を自覚し、近医受診。MRIにて脊椎腫瘍疑われ、11/5当院内科及び整形外科を紹介受診。内科的に原発巣は確定できず、11/30整形外科にて骨生検施行され癌転移の診断となるも癌腫の確定診断に至らなかった。12月の脊椎MRIにて腫瘍増大し、新たな骨病変出現を認めたため、12/16整形外科入院となった。 【入院時身体所見】vital問題なし。背部から両上腕に痛みあり。歩行問題無し。両上下肢筋力低下なし・感覚障害なし 【血液生化学検査】肝胆道系酵素正常。各種ウイルスマーカー陰性。AFP42.1ng/ml、 CA19-9 51U/mlと軽度高値。その他腫瘍マーカーは正常。 【画像所見】CT:肝S6に血管腫あり。Th2に硬化性病変あり。PET:Th2にのみ異常集積あり。全脊椎造影MRI:Th2椎体の腫瘍性病変は脊柱管を圧迫。Th3、Th9に転移巣あり。【経過】12/17の塞栓術終了直後に両下肢麻痺が出現し同日緊急手術施行。その後Th9病変に対し放射線治療施行するも、腫瘍は増大し、新たに転移性肺腫瘍が出現した。手術標本より原発不明癌と診断されるも免疫染色ではHepPar-1(+)、AFP(+)であった。肝機能はChild-Pugh分類6点(A)で、本人の希望もあり、十分なインフォームドコンセントのもと、2/9~Sorafenib400mgより内服開始、800mgまで漸増した。Sorafenib開始8週後、骨病変は開始4週後と著変なく、肺転移の増悪や新たな転移巣は認めず、明らかな肝細胞癌を疑う腫瘤性病変を認めなかった。総合的にSDと判断し、以降外来にて加療継続中である。 【結語】本症例は癌の既往がない患者に転移性骨腫瘍が出現し、原発巣検索によっても原発巣確定に至らなかった原発不明癌の一例である。本来併用化学療法を施行する方法もあったが、病理所見より肝細胞癌に類似した遺伝子異常をもつ可能性が示唆されたためSorafenibの投与を開始したところ、腫瘍の進行を遅らせるという結果を得ている。原発不明癌に対するSorafenibの有用性も含めて、若干の文献的考察を加えてここに報告する。 |
索引用語 | Sorafenib, 原発不明癌 |