共同演者 |
西田 勉(大阪大学 消化器内科), 山田 拓哉(大阪大学 消化器内科), 山田 拓哉(大阪大学 消化器内科), 江崎 久男(大阪大学 消化器内科), 植村 彰夫(大阪大学 消化器内科), 新崎 信一郎(大阪大学 消化器内科), 宮崎 昌典(大阪大学 消化器内科), 薬師神 崇行(大阪大学 消化器内科), 渡部 健二(大阪大学 消化器内科), 飯島 英樹(大阪大学 消化器内科), 筒井 秀作(大阪大学 消化器内科), 木曽 真一(大阪大学 消化器内科), 平松 直樹(大阪大学 消化器内科), 辻井 正彦(大阪大学 消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大学 消化器内科) |
抄録 |
症例は72歳、女性。既往歴に特記事項なし。2010年5月下旬より全身倦怠感・食思低下、6月初旬より黄疸を認めたため、精査目的にて前医入院となる。閉塞性黄疸に対しては内視鏡的胆道ドレナージが施行された。腹部CT検査では石灰化を伴う膵頭部の軽度腫大を認めたが明らかな腫瘍性病変は認めず、脈管侵襲も認めなかった。また腹部MRI・ERCPにて膵頭部の主膵管の途絶は認めなかった。胆汁・膵液細胞診が陰性で、IgG4上昇 (201mg/dl)および上記の所見より、自己免疫性膵炎として矛盾しないと診断され、治療のため7月上旬よりステロイド治療(初期投与量:プレドニゾロン40mg/日)が開始された。しかし3週間後IgG4は139mg/dlと低下するも、腹部CT検査では膵頭部腫大は著変認めず、癌の可能性も否定できないことから当院を紹介受診され、9月上旬入院となった。腹部造影CTでは、膵鉤部に点状石灰化を伴うhypovascular areaと体尾部の著明な主膵管拡張を認めたが、明らかな腫瘍を疑う所見はなく、膵炎との鑑別は困難であった。PET-CTでも同部位は淡い集積を認めたが、質的診断は困難であった。EUSでは、膵鉤部に境界不明瞭・内部不均一な低エコー領域を認め、その内部には石灰化と考えられる高エコーが点在していた。十二指腸下行部より同部位に対してEUS/FNA施行し、細胞診にて adenocarcinomaを認めた。切除可能膵鉤部癌(cT3N0M0, cStageIII)の診断のもと、当院外科にて10月膵頭十二指腸切除術を施行。最終診断は、Adenocarcinoma of pancreas(tub2>tub1), Ph,TS2,pT4(PV),pN0,sM0, StageIVaであった。切除標本のIgG・IgG4免疫染色を施行したが、IgG4関連硬化性疾患を積極的に疑う所見を認めなかった。画像上膵炎との鑑別が困難で、IgG4の上昇もあったことから膵癌の診断に難渋した一例であった。 |