セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 大腸癌を合併した肝外発育型高分化肝細胞癌の1例 |
演者 | 尾崎 晴彦(市立枚方市民病院) |
共同演者 | 奥田 篤(市立枚方市民病院), 井口 宗威(市立枚方市民病院), 坂中 太輔(市立枚方市民病院), 中平 博子(市立枚方市民病院), 扇谷 大輔(市立枚方市民病院), 藤原 新也(市立枚方市民病院), 本合 泰(市立枚方市民病院), 阿部 洋介(大阪医科大学), 樋口 和秀(大阪医科大学), 松井 康輔(関西医科大学付属枚方病院), 石崎 守彦(関西医科大学付属枚方病院), 海堀 昌樹(関西医科大学付属枚方病院), 權 雅憲(関西医科大学付属枚方病院) |
抄録 | 症例は70代男性。既往歴は2型糖尿病でインスリン治療中。糖尿病性網膜症にて失明。現病歴は糖尿病に対するインスリン治療を行っていたが、コントロール不良であったため血糖コントロール目的で当院内分泌内科に入院となった。入院中に施行した腹部単純CTにて肝左葉よりhumpする径50mm大の腫瘤性病変を認めたため消化器内科共観となった。入院時血液検査では肝炎ウイルスは陰性で、AST/ALTは正常、肝機能は良好であった。空腹時血糖は270mg/dl、HbA1cは9.5%で著明な耐糖能異常を認めた。腫瘍マーカーでAFP,CEA,CA19-9は正常範囲内であったが、PIVKA-2は112mAU/mlと高値を呈した。腹部CT上では腫瘤は胃体上部大弯を圧排していたが、上部消化管内視鏡検査では壁外性圧排像は判然としなかった。腹部超音波検査では脂肪肝と肝左葉背側に低エコー腫瘤があり、内部に嚢胞成分と高エコーの部分が混在していた。腹部dynamic CTでは動脈相で濃染され、平衡相まで持続し、腫瘍内部に不染域を伴っていた。Gd-EOB-MRIでは、T1WI,T2WIで肝とほぼ等信号で、造影早期で不均一に染まり、平衡相でwash outを来した。腹部血管造影では肝左葉外側区に腫瘍濃染像を認めた。脾動脈から一部分が造影され、車軸状に描出された。CTAでは濃染され、CTAPで血流は認められなかった。車軸様血管が描出されたことからFNHを鑑別診断に挙げた。しかし、2008年の腹部単純CTでは腫瘍は指摘できず、その後に急速に増大した病変であるため悪性腫瘍の可能性があり、さらに外側にhumpしていることからruptureの危険性もあるため外科的切除の適応と考えた。また術前検査にて肝彎曲に1/3周を占める2型大腸癌を認めたため、大腸癌と肝腫瘤治療目的で関西医科大学付属枚方病院へ転院となった。肝腫瘍の肉眼像は血腫を伴う淡白色充実性腫瘤であり、病理診断は高分化型肝細胞癌であった。非典型的な画像所見を呈し、術前診断に苦慮した肝外発育型高分化肝細胞癌を経験したので報告する。 |
索引用語 | 肝腫瘍, 肝外発育型 |