セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 重症アメーバ性大腸炎の一例 |
演者 | 小畠 寛子(六甲アイランド病院 内科) |
共同演者 | 大森 靖弘(六甲アイランド病院 内科), 寺師 江美(六甲アイランド病院 内科), 永野 雄一朗(六甲アイランド病院 内科), 畑澤 友里(六甲アイランド病院 内科), 服部 素子(六甲アイランド病院 内科), 荒井 隆志(六甲アイランド病院 内科), 肥後 里実(六甲アイランド病院 内科), 谷尻 力(六甲アイランド病院 内科), 土橋 大輔(六甲アイランド病院 内科), 西岡 千晴(六甲アイランド病院 内科), 名田 高幸(六甲アイランド病院 内科), 山田 浩幸(六甲アイランド病院 内科), 北垣 一成(六甲アイランド病院 内科) |
抄録 | 症例は44歳、女性。既往歴は特記するものなく、海外渡航歴もなし。平成22年7月1日より水様性下痢が出現し、徐々に粘血便を認めるようになった。7月5日からは全身倦怠感・食欲低下を認めたため7月11日に当院救急外来を受診し、同日入院となった。採血にてWBC13200/μl、CRP16mg/dlと炎症所見の上昇と、Alb 1.6 g/dlと著明な低アルブミン血症を認めた。腹部造影CTでは結腸全体に壁肥厚を認めたが、壁の造影効果は良好であった。第3病日に行った大腸内視鏡検査では、下行結腸に狭窄を認めたためS状結腸までの観察となったが、粘膜は浮腫状で帯状・斑状の発赤が正常粘膜を介して散在しており、粘膜表面に白濁した粘液の付着を認めた。採取した粘液を含む生検組織の直接鏡検ではアメーバ原虫は認めず、病理組織診断では炎症細胞の浸潤を認めるのみであり、アメーバ性大腸炎や潰瘍性大腸炎などは否定的であった。シプロフロキサシン600mg/日点滴静注にて治療を行うも状態改善せず、サイトメガロウイルス腸炎・CD関連腸炎・好酸球性腸炎なども否定的であり確定診断がつかなかったため、第6病日に再度大腸内視鏡検査を行ったところ、S状結腸に前回認めなかった不整形潰瘍や隆起糜爛が出現していた。粘液を含む生検組織と腸管洗浄液で直接鏡検を行ったが、前回同様アメーバ原虫は認めなかった。しかし内視鏡所見からアメーバ性大腸炎を強く疑ったため、同日よりメトロニダゾール2250mg/日にて治療を開始したところ、翌日には自覚症状の改善を認め、炎症所見も速やかに低下した。また血中抗赤痢アメーバ抗体陽性・生検の病理組織診断にてアメーバ嚢子が確認されたため、アメーバ性大腸炎の確定診断がなされた。第16病日に行った大腸内視鏡検査ではS状結腸に認めた発赤・糜爛・潰瘍の消失を認めたが、下行結腸の狭窄は残存していた。第17病日に退院となり外来で経過観察中である。今回診断に苦慮した重症アメーバ性腸炎を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | アメーバ, メトロニダゾール |